第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「揺光さんて何でもでけるんやろ?」

揺光【もちろんじゃ。出来ないことは無いぞ】

クロ「こんな言葉を軽く吐いて嘘じゃないところが怖いんだよな…」

福太郎「せやったら知らん事とかないんちゃうんです?」

揺光【知らんことが無いわけではない。例えばキョンシーという動く死体を作ることはできる。じゃが、必ずしもその術式が、そこにおるお仙に掛けられた術と同じとは限らんじゃろ?結果は同じでも式が違うようなもんじゃ。妾の場合は大抵あいだの式を無視して結果だけを出せるっという意味で、出来ないことが無いってことじゃ。】

福太郎「なるほど」

メリー「どういうこと?」

福太郎「問題があったらそれを解くために計算するやん」

メリー「うん。」

福太郎「揺光さんはその計算を無視して答えが出せるってこと」

メリー「……カンニング?」

揺光【かんにんぐとはなんじゃ?芸人か?】

福太郎「カンニングは知っとるんですね……えーと、カンニングいうんは試験のとき、隠し持ったメモや他人の答案を見るなどして答案を作成する不正行為のことっすね。」

揺光【なるほど、なるほど、言い得ておるな。】

メリー「でも、凄いんだよね?」

揺光【こんこん♪】

お仙『すごい揺光さんに質問でス』

揺光【なんじゃ?】

お仙『なんでそんな人が温泉行脚なんてしてたんダ?ワープとか出来るんじゃないノ』

揺光【瞬間移動は確かに出来るが……それでは一瞬じゃろ?楽しみも趣もない】

すっきー『趣っすか』

揺光【うむ、妾みたいに万能になったものはの手間を省くことはやらなくなる。むしろ手間をかける事を楽しむのじゃ。今回の温泉行脚も歩いて全国の温泉を回る。分かりやすく言うと登山とかと同じじゃな。】

福太郎「山を登ることが楽しい的な」

揺光【そういう事よ。悠がげーむをするじゃろ。アレが妾にとっての温泉行脚だったということじゃ。】

メリー「んー、なんか難しい」

福太郎「全国にピクニック行くって思ったらええんよ」

メリー「楽しそう!」

クロ「単純だな」

お仙『じゃあ、温泉は回り終えたノ?』

揺光【まさか、全然終え取らん】

福太郎「んっ、そうなんですか?」

揺光【徒歩じゃしな。近いところから行って、合い間で四国八十八ヵ所の霊場も廻ろうと考えておる】

メリー「霊場?」

福太郎「お寺巡りのこと。お遍路さんいうたら分かるかな」

クロ「弘法大師(空海)の足跡をたどって、八十八ヶ所の霊場を巡拝するんだよ」

メリー「テレビで見たことある!」

お仙『四国って言うト……徳島、愛知、高知だったケ?』

揺光【愛知ではなくて愛媛じゃ。】

クロ「っーか、ひとつ抜けてるんだが…」

揺光【おお、そうじゃったな。徳島、愛媛、高知、うどん】

クロ「うどんて…」

福太郎「まぁ、うどん県って名のっとるんやしええんとちゃう?」

揺光【妾はうどんすきじゃがな】

メリー「何うどん?」

揺光【きつねうどんに決まっておろう。こんこん♪】

クロ「うどんっていうか……油揚げじゃね?」
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