第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

勇義「どうしてもダメかい?」

ラム「その角をひっこめたり隠したりできないの?」

勇義「できない。」

ラム「……」

クロ「言い切ったなぁ」

福太郎「ほんなら、これかぶってみます?」
スッ
【麦わら帽子】

メリー「それだったら角隠れるかも!」

ラム「まぁ、ある程度は隠れる……わよね?」

クロ「んーただ……」

勇義「よっしゃ!」
グッ……バリッ!

「「「あっ」」」

勇義「お?」

福太郎「深くかぶったら、そら貫くわな」

勇義「……」

クロ「……まぁ、これはこれでいいんじゃないか?帽子の一部ってことで」

ラム「ダメでしょ?!」

福太郎「んー、リボンとかこう着けてみたら」
キュッ

メリー「かわいい!」

福太郎「これでどうやろう」

勇義「いけそうか?」

クロ「ドンドン悪化していってるだろ!」

ラム「目立つっちゃ目立つけど……コスプレの一種で誤魔化せる感じにはなってるわね」

クロ「えぇ……」

福太郎「ほんならこれでいきますか」

ラム「……本気?」

福太郎「近く歩くだけでええんですよね?」

勇義「かまわないよ。あぁ、できれば酒を見てみたいね。」

福太郎「ほんなら……スーパーかな」

ラム「……私は帰るわね。」

福太郎「一緒に行きましょ」

ラム「嫌!」

勇義「よーし、行こう行こう」
ガシッ!ひょいっ。
ラム「こら!持ち上げるな!担ぐな!」

勇義「あはははっ。軽い軽い」

福太郎「いってきます」

クロ「あ、あぁ…。」

メリー「気をつけてねー」



ー池袋界隈ー

勇義「あの走りまわってるのなんだ?」

福太郎「自動車いうて……ええと、機械の車。」

勇義「キカイの車かぁ。なるほどな」

ラム「わかった?」

勇義「いいや。」

福太郎「ははっ。」

勇義「それでアレは突っ込んでくるのを止めたらいいのかい?」

ラム「そういうので走ってるんじゃないから!」

勇義「でも、あんなふうに走りまわってたら道渡れないだろ」

ラム「信号が変われば渡れるわよ」

勇義「信号?」

福太郎「あれ、あの三つのやつ。緑が渡れ、赤が止まれ、黄色が注意。緑の時は渡ってええんよ」

勇義「……飛び超えたら?」

ラム「駄目!」
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