第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

紫「はーい♪」

福太郎「……」

紫「ん~?」

福太郎「びっ……くりしたぁ。紫さん……いきなり現れんといてくださいよ」

紫「うふふ。」

福太郎「どないしましたん?」

紫「ん~、暇だからちょっと見に来ただけよ」

福太郎「食事中のドタイミングで?」

紫「あら、偶然」

福太郎「ホンマでっかソレ?」

紫「偶然よ、偶然。ぽりぽり」

福太郎「あの、普通に食べんといてください」

紫「あら、この香の物(漬物)。良い味ねあっさりしててポリポリ」

福太郎「あの……よかったら、ご飯たべてきます?」

紫「あら~、そんなぁ……じゃあ遠慮なく。」

福太郎「はは……ほな、ちょっと待っといてください。簡単に用意しますんで……あ、とりあえずスキマからちゃんと出てきてくださいよ。半身だけっていうんは何や怖いですから」

紫「はいはーい」

すっきー『……』

紫「そんなに怯えなくていいわよ」

すっきー『え、あ……はい。』

紫「同じスキマ同士出しねぇ。ふふふっ」

すっきー『レベルが違うっスけどね……普通に引っ張り出されちゃいますし』

紫「引っ張り出される?」

福太郎「悠に引きづり出された経験が何度かあるんですよ」

紫「あら、そうなの……見てみたいわね」

すっきー『えぇっ!』

紫「あら、美味しそう。」

福太郎「おおきに、せやけど……紫さんには侘しいないです?」

紫「そんなこともないわよ。食に関してはこっちの世界の物、私は好きだもの。特にスィーツとかね」

福太郎「スィーツ……ですか」

紫「なにか?」

福太郎「いや……タイヤキとか饅頭くらいなら俺も食べますけど、スィーツっていうんはどんなもんを指すんかなぁおもて」

紫「パフェとか洋菓子の事じゃないかしら?」

福太郎「あ、なんや明確なコレっていうもんがあるわけではないんやね」

紫「細かいことはいいのよ。女の子は甘いものが大好きなの」

メリー「女の……子?」

紫「あらぁ?そこのお人形ちゃん……なにか問題でもぉ?」

メリー「ひぃっ」

福太郎「あんまり驚かせんといてやってくださいな」

紫「コホン、ちょっと大人げなかったわね。ゆかりん反省」

メリー「ゆかりん……」

紫「そう呼んでくれていいのよ」

メリー「……」

福太郎「ゆかりんは、結局ご飯食べに来ただけなんでしゃろか?」

紫「あら……本当に呼んでくれるのね」

福太郎「アレ?アカンかったですか?」

紫「いや、いいんだけど……随分とフラットに話すようになったわよね。アナタ」

福太郎「いやぁ……まぁ、なんというか会うたび会うたび、ゆかりんの威厳が減少していって」

紫「ええっー!どこがよっ!」

福太郎「ごはんつぶついてますし」

紫「ちょ、早くいいなさいよっ!」

福太郎「あはは」

ようよう「兄さんも度胸あるよな……」

すっきー『よくよく考えたら悠さんより、肝は座ってるんじゃないっすか?』
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