第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

勇義「あぁ、私が投げちまったのかい」

クロ「そういうことだ」

お仙『一瞬世界が回っタ』

福太郎「頭パーンってならんで良かったね。」

お仙『頭パーンは嫌だァー』

勇義「全然覚えが無いんだが……大丈夫かい?」

福太郎「んー、まぁ、この通り痛みは無いみたいなんで」

お仙『痛いヨー。痛いヨー。』
プランプラン

クロ「本当に痛いやつは折れた手をふらねぇよ」

福太郎「自然治癒はでけんみたいなんで専門の人に見せたら何とかなるかと……」

勇義「死体専門の医者でも居るのかい?」

福太郎「医者言うか……道士?」

勇義「どうし?あぁ、坊主みたいなやつか」

福太郎「違うようなそれであっとるような……。星熊さんもそういう人と知り合いが?」

勇義「勇義でいいよ。知り合いっていうか巫女だな」

福太郎「……んっ、脇巫女さん」

勇義「アンタがいってるのはどっちの脇巫女だ?」

福太郎「どっち……んっ、赤い脇巫女さんも緑の脇巫女さんもしってまっせ。」

クロ「名前でいえお前ら」

福太郎「んっ、霊夢ちゃん達もキョンシーの治癒とかでけるんやね」

勇義「できないんじゃないか?私の見た感じだとあの巫女は妖怪を治癒(なおす)じゃなくてブッ叩くのが専門ぽいし」

福太郎「なんとなく納得」

勇義「まぁ、あんま知らないんだけどな。」

福太郎「そうなん?萃香ちゃんは博麗神社に住んでるいうてたけど」

勇義「萃香はな。私は普段は地底にいる」

お仙『地底?』

メリー「地底って……本当に地面の下?」

勇義「ああ、地底には地上のものに嫌われた妖怪たちが住んでいる」

福太郎「嫌われた妖怪…」

勇義「土蜘蛛、橋姫あとはさとり妖怪とかね」

メリー「ご主人様、土蜘蛛って蜘蛛?」

福太郎「大和王権に恭順しなかった古代豪族の総称、蔑称やけど……多分勇義さんのいうとる土蜘蛛は「和漢三才図会」巻五十二の「螲蟷(つちぐも)」の項の、蜘蛛に似て土中に巣を作り、網を張って下から蠅などを捕らえるっていうほうの土蜘蛛茶うかな、熱病を起こさせるとかの……」

勇義「アンタ、詳しいねそうだね。黒谷やまめっていって病気(主に感染症)を操る程度の能力さ。」

クロ「……危ない能力だな」

勇義「だからといって無闇矢鱈と病気を振りまいたりはしないさ。まぁでも、川を汚すからって河童には嫌われてるね。」

福太郎「カッパ!!」

クロ「どこに反応してるんだ……」

福太郎「コホン、まぁ勇義さんには病気とか効きそうにないですもんね」

勇義「ちょっと熱っぽくなっても酒を飲んで寝れば一発だ!あっはっはっ!」

クロ「うわぁ……」

福太郎「鬼すげー」

お仙『私だって病気には強いゾ』

クロ「死んでるから病気にならないだろ」

お仙『心は生きてル!!』
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