第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ふぅ…」

勇義「おう、悪かったね。酒ブチまけちまって」

福太郎「ええですよ。毒とかひとを溶かすような液体やなーて良かったです」

勇義「そんなものをぶちまける奴がいるのかい?」

福太郎「今はまだ会ったことないかな。ハサミを突き立てられかけたことはあったけど」

メリー「……ぐぅぐぅ」

クロ「はっきり起きてただろ」

勇義「ハサミを突き立てられたってちょっとこそばいだけだろ」

福太郎「あー……刃物とか刺さらんお方?」

勇義「あんまり刺さらないな。」

クロ「あんまりって……」

勇義「まぁでも、刺されたりする前に片付けるけどな」

福太郎「おー、さすが鬼」

勇義「それよりただ話すのもなんだし……飲みながら話さないか?」

福太郎「んー、やっぱり鬼やな」

勇義「鬼はのんでナンボだからね。えーと、私の盃は……あったあった」
デンッ

福太郎「相撲取りが飲むような杯やな」

勇義「いいだろう」

福太郎「なるほど、それ一杯分の酒をぶっかけられたんやね。」

勇義「そういうことだ!あっはっはっは!」

クロ「反省してねぇな」

福太郎「鬼はこういうタイプなんやろ。」

すっきー『反省しないのと空気読まないとこっすか?』

福太郎「すっきーはホンマひとこと多いな」

勇義「あっはっは。よく言われるから気にしないよ」

福太郎「そこは気にしましょーや」

勇義「できれば外の世界らしい酒が飲みたいね」

福太郎「んー……」

勇義「ないのかい?」

福太郎「いや、外の世界らしい酒いうたら……なんかなぁ」

クロ「これじゃないか?」
スッ
福太郎「あぁ、どうぞ」
とくとくっ
勇義「悪いねぇ……って、これ麦酒じゃないのかい?」

福太郎「ビールですよ」

勇義「これが外の世界らしい酒なのかい?」

福太郎「まぁ、飲んでどうぞ」

勇義「ごくっごくっ……微妙」

福太郎「プリン体OFFビールです」

勇義「ぷりんたい?」

福太郎「あと、ノンアルコールビールとかありますよ」

勇義「ノンアルコールって……その時点でビールじゃなくなくないかい?」

福太郎「それがビールなんですわ」

勇義「美味いのかい?」

福太郎「全然」

すっきー『個人の感想っす』

勇義「まぁ、聞く限り美味そうじゃないわ」

福太郎「マズイもんて有名ですやん」

勇義「できれば私は美味しい酒が飲みたいね」

福太郎「今夜はとりあえずこれで我慢してくれますか?」

【鬼殺し】

勇義「銘柄がいいね!よし、いただこう!」

クロ「恐れないなぁ…」

福太郎「さすが鬼やな」
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