第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー集合墓地:あやかし屋ー

福太郎「圧勝やな」

悠「別に勝負をしてたつもりはないんだが……」

福太郎「戦意喪失させたんはぁぁ?!」

二口女「くっくっくっ」

今度はなぜか福太郎が二口女のおさげ髪に捕まって吊りあげられている。

福太郎「んーと、二口さん?なんで俺は捕まったんやろか?」

二口女「なに、自分は店員ではないが店の用心棒的立場でね。それに……コレは一種の儀式的なものなのだよ。キミのおにぎりの味が忘れられなくてね。」

グバァっと二口女の後頭部の口が大きく開いた。ゾッとするほどの赤い舌と眩しいほど白く鋭利な歯牙が覗いている。

福太郎「あの……いうとる意味がわからんのですけど」

二口女「くくっ、さぁどうするかね?」

悠「……助けいる?」

福太郎「んー、せやなぁ。ところだ……気になっとったんやけどこの舌ってなんなん?」
ガシッ
二口女「ひぇっ?!」

福太郎「頭から出てきとるけどやっぱり舌っていう部位何?味とかはどういう感じで伝わるん?」
ぐにぐに
二口女「ひゃわわ!や、やめてくれ!そこ、そこわっ!自分の仮説によるとその舌は脳が変化した器官で粘膜っっあばばばばば!!」

悠「おれもまぁ何か色々やるけど、自分を食おうと伸びてくる舌を興味あるからって掴んで引っ張ったりとはなかなかしないなぁ」

骨女『福太郎様もなかなか大胆ですよね。』

二口女「うぁぅ……」
グテッ
福太郎「んっ、降ろしてくれた」

悠「正しくは自力で脱出した」

骨女『なんてこと……あやかし屋、四天王全員があっというまに……こうなったら相手にとって不足は有りません』

悠「おれらここに何しに来たんだっけ?」

福太郎「飯食いにやったとおもうけど」

骨女『イメトレで鍛えた骨々拳法を御覧いれましょう』

福太郎「イメトレて」

悠「いや、侮れないかもしれないぞ。通信空手で超人になる科学技術大学の教授もいるんだ」

骨女『あちょ~』
ゆる~

悠「……」
スッ
福太郎「……」
スッ

骨女『あれ~』
こけっ、がしゃーん!

悠「あーあ……バラバラ」

福太郎「なんやろうか、自分でずっこけてバラバラになるってすっげぇデジャヴ感がある。」

悠「っか、骨子の頭どこだ?」

骨女『あーれ~……』
ひゅん
義鷹「邪魔するぜ……あ?」
ガシッ!

悠「あれ、義鷹」

福太郎「どーも」

義鷹「あん?なんでお前らがいる」

悠「なりゆき?」

福太郎「なりゆきかな」

義鷹「なりゆきなぁ。それでこれはなんだ?」
ポンポンっ
骨女『あうあう』

悠「骨女の頭」

福太郎「飛んでいった頭部」

義鷹「まるで状況が分からねぇが……とりあえず、これどうにかしろ。」
ぽいっ
悠「キャッチ」

福太郎「とりあえず……組み立てよか」
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