第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

二口女「み、見てしまったね……キミ。やはり……やはり、自分は妖怪に見えるのだね……?」

福太郎「んー、バッチリ見えとるけど。自分が妖怪に見えるかって聞かれたんは初めてかな」

二口女「自分は本当は……いや、いい、おにぎり感謝するよ。迷惑かけたね」
ふらっ…

福太郎「んっー、まぁ待ちや」

クロ「別に妖怪はお前だけじゃねーよ。」

お仙『おー、口が後頭部にもあル。便利そうだナ!』

メリー「まだおにぎりあるよ?」

すっきー『なんだ、妖怪さんなら出てきてもいいっすね。』

二口女「これは……」

福太郎「おにぎり百個食べる言う勝負中やん。」

二口女「い、いいのかね?頭に口があるバケモノ女でも。」

福太郎「頭に口があろうが、腹に口があろうがええんとちゃう?別にルール違反ちゃうし」

二口女「……い、いただきます!」

福太郎「んっ、がんばりや」


~妖怪暴食中~


二口女「ゲフッ……うぷっ。すまない、百個は無理。盛ってた。」

クロ「食ったには食ったが二十個くらいか」

お仙『頑張ったほうじゃネ?』

メリー「おなかパンパンだよ。」

福太郎「苦しそうやし罰ゲームは後やな」

すっきー『罰ゲームするのは決定なんスね…。』

福太郎「しかし、見事に膨れたなぁ」

二口女「ふふっ。キミとの愛の結晶だよ。」

福太郎「そういう下ネタ。嫌いやないなぁ」

由乃「……」

りんね「……」

クロ「おい、何か玄関で固まってるのがいるぞ」

福太郎「ん?あら、りんねさんに由乃ちゃん。どないしたん?」

りんね「おめでた!?おめでたなの!!」

由乃「あわわわっ!」

福太郎「んー、違うで。これ、おにぎり」

りんね「おにぎりって名前?!」

福太郎「いくらキラキラネームが浸透してきとるとしてもおにぎりはないなぁ」

お仙『鬼切』

クロ「刀かよ」

二口女「キミの周りは女性だらけだね」

福太郎「男もおるけど濃さが違うんで案外トントンなんですよ。」

メリー「あのね、あのひと餓死しかけててお腹いっぱいおにぎり食べてああなったの」

由乃「そ、そうだったんだ」

りんね「もう、福太郎さんたら驚かしてくれちゃうわ」

福太郎「俺はなんも言うてませんやん」

クロ「それで何しに来たんだお前ら」

由乃「あ、そうだった。実はですね。歪業の妖怪さんが今日来るはずだったんですけど連絡が取れなくなっちゃって……」

福太郎「あらま……どんな妖怪さん?」

由乃「二口女さんらくて…。どうやら元々は人間だった方で妖怪化して……」

二口女「それ、私のことだね。」

由乃「えっ?」

二口女「っていうことはキミが歪業屋さんかい?」

福太郎「んっ、そうです。」

二口女「こりゃ奇遇だね。助けてもらったひとが歪業屋だったとは」

福太郎「ですなぁ。てかさ、この人、世話いらんと思うで?帽子さえかぶっとったらフツーに人やし」

由乃「そうですか。でも、一応書類とかを書かなくちゃいけないので今日はウチに来てもらえますか?」

二口女「はいはい。かまわないよ。世話になったね福太郎君」

福太郎「いえいえ、別になんもしてまへんよ。」

クロ「……そういえばお前はなんなんだ?」

りんね「さっきそこで会っただけよ?」

クロ「あぁ、そう…」
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