第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近く:集合墓地ー

福太郎「ここって近道なんやけどあんまり人とすれちごうたりせーへんのよね。」

悠「多分。夜にここを通るにはみんな勇気が足りないんだよ。」

福太郎「適度に灯もあるのになぁ」

悠「墓の外の街頭からの光であって墓自体には光がないけどね。」

福太郎「たまに鬼火とかが彷徨っとるよ」

悠「福ちゃん。それ普通に怪奇現象」

福太郎「もう怪奇現象も害がないならただの現象ととらえることにしたんよ。」

悠「……YESだね!」

福太郎「んっ、あんなところに誰かすわっとるで」

悠「噂の骨っ娘?」

福太郎「いや、あれは……」

首のない身体「……」

悠「なっ、猟奇殺人!!これはいわる首なし死体!」

福太郎「これは警察かな…。」

悠「そうだなぁ。医者といいたいところだけど100%死んでるもんな。一応脈はかるけど」

福太郎「幽霊妖怪は見慣れとるけど死体はあんまり……あ、見慣れとったわ。りんねセンセで」

悠「おれもどっちかっていうと死体の方が見慣れて……んん?」

福太郎「どしてん?」

悠「この100%の死体、体温もあるし脈もある」

福太郎「マジで?」

悠「マジマジ。妖怪かな」

福太郎「んー、首なし妖怪いうたら……デュラハン?」

悠「じゃあ、近くに馬車とかあるかな。っか、何しても反応ないなコレ」

首のない身体「……」

福太郎「んー……とりあえず持って帰る?」

悠「なに?飾るの?それともお仙のアタッチメントにするとか?」

福太郎「いや、ここら辺って野良犬でるやん。このままにしといたら喰われんかなって」

悠「喰われはしないんじゃないか?」

福太郎「せやけど、もう何度もりんねさん襲っとる野良犬やからな。最近はもうバラバラになってなーても食いついてくるらしいし」

悠「それ、りんね先生の肉食い過ぎてゾンビ犬的なのになってない?」

福太郎「ただの野良犬ではなくなってきとるかもね。せやけど、りんねさん以外が襲われたっていう話しは聞かんし」

悠「完全に獲物としてみられてるんだな、あの人」

福太郎「りんねセンセって不死身なだけで他の能力は平均並な感じやしね。何もないところでつまずくし」

悠「神がかったドジ。けど、あの人はドジ=凄惨なスプラッタになるしな…」

福太郎「っということで、これ持って帰って保護しとこ」

悠「しゃあないな、よっこいしょっ」
首なしの身体「……」

福太郎「気分は?」

悠「女の子の身体だからおんぶしたけど、これが男の身体だったら引きずってるは絶対」

福太郎「悠。」

悠「ん?」

福太郎「後ろから見たらホンマになんか殺ってしもて死体はこんどる感じに見える」

悠「もし仮に殺っちゃったとしても上手いことやるよ、おれは」

福太郎「せやろなぁ。リアル完全犯罪しそうや」

悠「ふふっ。しかし、この首なしの着てる服どっかで見たことあるような……?」
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