第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近く:集合墓地ー

福太郎「ここで骨の娘とまえあったんやけどね。」

悠「おー、なかなかうすっ気味悪い場所だな」

福太郎「お墓やしね」

悠「でも、最近の墓は綺麗で明るい場所も多いじゃん」

福太郎「納骨場とか凄いらしいな煌びやかな自動……ん?」

悠「どした?また墓から骨でも出てたか?」

福太郎「いや、なんやろかアレ」

悠「どれ?あ?」

何か肌色の長いものが墓と墓の間に伸びている。

福太郎「撫でてみよか」
さわさわ

悠「どう?」

福太郎「んー、生あったかい。しかも、ビクッてなった気がする。」

悠「マジで?どれ、ぺろぺろ、カプッ!んっ、人肌っぽいな。」

福太郎「いきなり舐めたり噛んだりするとはレベル高いわぁ。あ、地面に落ちた」

悠「なんなんだろうかこれ、端っこ見てみるか」

女の頭「ふにゃぁ///」

福太郎「あら、女の子の頭が落ちとる」

悠「この長いの首だったのか」

福太郎「っぽいな。おーい、キミ、大丈夫?」

女の子「ふにゃぁ~人探してたのにイタズラしたらあかんて君ら~」

悠「ほほう、コレはアレか俗にいうろくろく首。」

福太郎「「く」が多い」

悠「カレー?」

ろくろっ娘「それは「具」が大きいや」

福太郎「んっ、ていうか、人探し?」

ろくろっ娘「そーなんよ。抜けちゃんと街までいくっていうて、ここまで来たのにはぐれてしもてん。」

悠「ヌケチャン?」

ろくろっ娘「ふぇーん、抜けちゃんはおらんようなるし、足はひねるし、やっぱうち不幸や~!」

福太郎「んー、迷子かつ怪我しとるみたいやな。悠、なんかない?」

悠「おいおい、おれは猫型ロボットじゃないぞ。ただ、偶然駒狸さん印の軟膏と包帯をもってるのは確かだ」

福太郎「偶然ってええね。」

悠「どれ、足捻ったってことは軽い捻挫だろ。座ってろ薬塗ってやるから」

福太郎「墓石に座るんは……まずそうやから、其処の石にでも腰かけ」

ろくろっ娘「うちにかかわったら不幸になるでぇ~、うちは不幸を呼ぶ女なんや~」

悠「幸運を呼ぶとかいう触れ込みの詐欺童子をしってるから、おれはそういうのを信じない。靴脱がすぞ」

福太郎「それに不幸言うけど悠、今のご気分は?」

悠「女子の靴脱がしてニーソ脱がせて生足に触れられてサイコー。今日はついてるわ」

福太郎「らしいし、仮にホンマに不幸を呼ぶとしても不幸以上に幸運を掴み取っていけばエエだけちゃうかな。キミもな」

悠「よし、終わった。お?」
ニョロロ

福太郎「んっ?」
ニョロロ

ろくろっ娘「えへへ~嬉しいと巻きついてしまうねん。キミら優しいな~、うちのことこわがらんし~」

福太郎「ニシキヘビとかに巻かれるってこんな感じなんやろか」

悠「巻きつかれたらつい噛みたくなる。かぷっ」

ろくろっ娘「ふみゃっ!あんまいろたらアカンて~。うち首が弱点なんや~」

悠「おれはお前ほど弱点をさらけ出してる奴は初めてだ」
ほどきほどき

福太郎「あえて弱点を晒すことによる鍛え方かも知れんで」
ほどきほどき

ろくろっ娘「さて、ほんならウチは友達探すんで!おおきにね!」

福太郎「そこは手伝わんでええの?悠は人探しのプロやで」

悠「プロではないけどな」

ろくろっ娘「平気平気!ほんならねー」

福太郎「ここは妖怪とのエンカウント率高いなぁ」

悠「あの娘ミニスカだったじゃん」

福太郎「んっ」

悠「白だった」

福太郎「抜け目なしゃなぁ」



ー福太郎の部屋ー

福太郎「ただいま」

悠「ただいおじゃま」

クロ「おかえり」

恋「妙な挨拶を……ん?んん?」

メリー「あ…」

福太郎「ん?」

悠「どした?顔になんかついてるか?」

福太郎「あ、悠。頬」

福太郎「へ?あ、そういう福ちゃんも頬に……キスマーク」

悠「いつの間につけられたんだか…」

恋「なにをしてきた!」

悠「やましいことはない、ちょっと背の高い女の子の首舐めたり」

福太郎「巻かれたり?」

恋「有罪(ギルティ)!」

メリー「もー、ご主人様!自重してよね!」
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