第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「寒いわぁ。」
ごそごそ

クロ「自分の家のようにあがってコタツに入るよな」

悠「気のせい気のせい。はい、お土産の……ポケットティッシュ」

クロ「土産じゃないだろ」

恋「ふつーに配られとったもんじゃな」

福太郎「ポケTは便利やん」

悠「だろ?遠慮なく貰ってくれ。」
パラパラ

お仙『いっぱい出てきタ』

クロ「なんでこんなに持ってるんだよ…」

悠「ティッシュ配りしてるねーちゃんが可愛かったからずっと配り続けるのも苦だと思って10個ほど貰ってきてあげた」

福太郎「やさしいやん」

悠「でしょー」

恋「どこがじゃ!ただのスケベ心じゃろ!」

悠「失敬な!男だったら受け取ってないよ!」

クロ「完全なスケベ心だろ」

福太郎「んっ、まぁ、気持はわかる」

メリー「ご主人様!」

福太郎「なに?」

メリー「めっ!」

福太郎「よしよし」
ナデナデ
メリー「もー!」

悠「いいなぁ。」

恋「なにをいっとるんじゃ。お前は」

悠「小人系のツンレディがいいなぁって。」

お仙『一応、恋も同族じゃないのカ?本体は人形だロ』

悠「……」

恋「……」

悠「へっ」

恋「何で鼻で笑った!!」

悠「せめてエロリッ娘なありかなと思うけど……なんかわかんない小娘だからなぁ」

恋「なんかわかんない小娘ってなんじゃい!!」

クロ「落ち着け」

悠「うん」

クロ「お前じゃねーよ!」

福太郎「龍が如く買った?」

悠「若い真島の兄さんいいよ。」

恋「おい、話しはまだおわっとらんぞ!」

お仙『終わらせといたほうが精神衛生的に良くないカ?』

恋「それはそれでどういう意味じゃ!」

お仙『エロリッ娘感がなイ』

恋「……」
ゲシゲシッ
お仙『おのれー私を蹴るとはーいい度胸ダー!』

クロ「なんでお前は攻撃されると喋り方が間延びするんだよ」

悠「痛みを伝えないようにしてるんじゃないか?ゲートコントロール理論的なアレで」

クロ「ゲート……なに?」

悠「Ronald Melzackが1965年に提唱した疼痛抑制に関する理論。『痛みとは末梢神経から脳へ一方通行の信号ではなく、温感冷感などの他の刺激や本人の注意などのさまざまな信号とmixされた上で伝わる複雑なもの』だと……」

クロ「いや、分かんねぇ」

悠「まだ説明終わってないんだけど」

福太郎「掻い摘んで言うと?」

悠「患部をさすったり圧迫する、また大声で泣き叫んだりする事で痛みを鈍らせる効果がある。」

福太郎「へー、せやから悠は殴られたりしたら叫ぶんや」

悠「いや、アレはほとんどリアルな悲鳴」
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