第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近く:集合墓地ー

骨女「はぁーはぁー……ぜぇーぜぇー……」

福太郎「って、体力ないなぁ自分。二日酔いでややダラケ気味の俺より先バテるって……」

骨女「引きこもりなもので……カルシウムには自身があるのですが…。」

福太郎「骨やしね」

骨女「それにしても素晴らしいステップでした。ファンになってもいいですか?」

福太郎「なにがしたいんやろか、この骨っ娘。ってか、俺そろそろかえらなアカンわ。もうずいぶん日暮れたし、なんや見たことないくらい火の玉が飛来しよるし」

骨女「それならお送りしますよ」

福太郎「ええよ、別に疲れとるんやろ?」

骨女「まぁまぁ、そういわずに明かりもありますから」

骨女は鬼火を操れるのか飛来していた何個(体?)かの鬼火が道を煌々と照らしてくれた。



ー福太郎の部屋ー

福太郎「ただいま」

クロ「随分と遅かったな……むっ、骨女!」

骨女「おばんでやんす」

メリー「わー!骨だ!」

お仙『おー、骨だナ。』

福太郎「んっ、さっき墓場で知りおうたんよ」

クロ「おい、今すぐ離れろ!」

福太郎「おっとっと?どないしてん?」

急にクロに腕を引かれて骨女から引きはがされた。

クロ「骨女は男をたぶらかして取り憑き生気を奪っていく妖怪なんだ。たぶらかされた男は骨女が美女に見えるけど、それ以外の奴には骨にしか見えない。」

福太郎「へー……せやけど、俺にも最初っから骨に見えとるんやけど」

クロ「なに?」

骨女「え?あ……たぶらかすのは初めてだったので肉をつけるのを忘れてました。」

カションッと手を打つと骨女は人間の女の子のようにちゃんと肉がついた姿になった。

脳内妄想で肉付けした顔とほぼ変わりない。強いて言うなら泣きボクロがあるかないかの違い程度。

メリー「あ、可愛い顔してる。」

お仙『ふむ、私と張り合えるレベルだナ』

クロ「黙ってろ動く死体」

お仙『死体差別いくなイ。』

骨女「あれ、でも私のことかわいいと」

福太郎「んっ、まぁ、脳内で肉付けしたら……まぁええわ。骨でも肉でも大して変わらんってことや。どっちでもかわええしドル目指してええと思うで」

骨女「実はドルとか嘘です!」

福太郎「んー?」

クロ「オイコラ、なんだこの骨」

お仙『犬連れてくるゾ!犬!この辺の犬は凶暴だゾ!!』

メリー「たまにりんねセンセ足とか持ってかれてるしね。」

骨女「御免なんし……でも、とっても楽しかったです。逆に私がたぶらかされてしまいました。ポッ///。それでは、またお会いしましょう。楽しーナ♪嬉しーナ♪」

骨子ちゃんはカランコロンと歌いながら墓に帰った。

福太郎「んー……なんや悪い妖怪ではないっぽない?」

クロ「私の知ってる骨女はもっとおどろおどろしい妖怪なんだけどなぁ。」

お仙『けど、いい娘だったナ。』

メリー「うん。今度はもっとお話ししたい」

福太郎「せやねー。まぁ、墓いったら会えるやろからまた行ってみよか」

クロ「っていうか、何で墓なんていったんだ?」

福太郎「休憩」

クロ「場所を選べ」
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