第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近く:集合墓地ー

福太郎「はぁぁ……んーー……やっぱり二日酔いなんやなぁ。休憩と思って適当な場所を探してここで落ち着くいうんは……。んんー……しかし、ここの墓地も手入れされとらんなぁ。今も墓の下には多くの骨がねむっとるんやろか……。安らかに眠ってください」

骸骨「……」

福太郎「……」

骸骨「はーい」
ふるふる

福太郎「安らかに眠っとらん骨発見」

骸骨「おばんどす。珍しいですね。男の人が迷い込んでくるなんて。」
カラカラ

福太郎「俺も今珍しいもんみとるわ…」

骨の姿の霊は見たことあるが、見たところこのコは実体のある骨が動いているようだ。見たところ女の子のようだが……ゾンビ系のなにかだろうか。

骨女「じつはあたしそうは見えないかもしれませんが「骨女」という妖怪でして。このお墓がマイホームなのです。夜型妖怪なのですが、私早起きなのだ。」
カチョン、カチョン

福太郎「そうは見えへんてそうにしか見えへんのやけど。」

骨女「肉付きが悪いとはよく言われますが、悪い妖怪ではないので安心してください。」

福太郎「肉付きいうか骨やん」

骨女「それよりも、もしやアナタは夢見長屋の歪業屋さんでございましょうか。虫たちの噂がお墓の下まで届いていますよ。多くの妖怪のお相手をなさっているとか。今日はお一人ですか?」

福太郎「虫?ええと、御堂福太郎です。まぁ、今日はひとりやな。買い物帰りに休憩してた感じ」

骨女「それは…好都合。是非、相談したいことが」

福太郎「んっ、相談?」

骨女「はい、私、引きこもりなのでお外のことはよく知らないのですけど。最近、街が活気づいてきたようなのでこれを機械にお墓の外にも出てみようかなって。それでせっかくですし墓場のアイドル、墓ドルデビューをしてみようかと思うのです。」

福太郎「んー、ツッコミどころは満載やけど、外に出るんはええことやな」

骨女「そこで、夢見長屋で妖怪フェロモンを撒き散らして美妖女ハーレムを築いているモテ王と昆虫界で定評を得ている貴方様に私を評価していただきたいなって。ついでに私のファン一号になってください。」
ビシッ!

福太郎「昆虫界で俺の評価がとんでもないことになっとるな。ハーレム王いうんやったらもっとピッタリなひとが居るのに」

骨女「いけそうかな?生前、吉原にいたころは「眠そうな雰囲気がマニアック可愛い」と結構評判だったのですが」
カチョン

福太郎「んー……難易度の高い質問やなぁ。骨やし」

ここは想像力を生かして……絵を描く時、骨組みに肉付けしていく感じで骨子ちゃんの頭蓋骨から顔を復元想像する……。

んっ、どこか眠たげで色白の可愛らしい顔……だと思う。

骨女「どうですか?」

福太郎「んー……顔は可愛らしい(?)感じやけど、それだけでドルっていうんは難しいんとちゃうかな。他に得意技とかないん?」

骨女「まぁ、顔は合格ですか。後は……お色気攻撃とか?」

福太郎「お色気?」

骨女「チラッ♪」

左前の白装束の胸元を開く骨子。もちろん見えるのは白くて硬そうな肋骨。

福太郎「んー……白くて艶やか(な肋骨)やね。綺麗やと思うよ」

骨女「こっちも合格を頂けてうれしいです。あとは踊りなどを少々」

福太郎「へぇ」

骨女「ささ、福太郎様もご一緒に踊りましょう」

福太郎「えっ、いや、俺踊りは……」

骨女「大丈夫ですよ。うふふっ」

そして、白骨少女と骨ダンス。

何時しか鬼火も一緒に舞い始め、あれ何かすごく楽しいぞ。
34/100ページ
スキ