第捌夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ラム「はぁ……酷い目にあったわ」

福太郎「適度な我慢は膀胱炎対策になるらしいですよ」

ラム「まだ蹴られたいの?」

福太郎「朝ご飯はなんにしよかな。昨日勢いで色んなもん焼いてしもたしなぁ。」

クロ「チクワとかも焼いてたよな…」

お仙『キムチとかもナ』

福太郎「残っとるんは……寝る前に炊いたご飯と……」

メリー「ご飯と?」

福太郎「ご飯と……バナナ」

クロ「朝飯っちゃ朝飯になるもんだけどよ…」

福太郎「よし、おにぎりにしよか。塩はあるし、あと、素味噌汁」

ラム「「素」味噌汁?」

福太郎「具無しってことです」

ラム「まさに「素」味噌汁ね」

お仙『案外嫌いじゃないそういうノ』

ラム「ああそう…」

りんね「むにゃむにゃ…」

クロ「っで、コイツは起きないな」

福太郎「ガッツリ呑んでたしなぁ」

ラム「っていうか、呑み過ぎでしょ」

福太郎「教師のお仕事って呑まんとやっとれん部分も有るんとゃう?」

クロ「コイツの場合は違うと思う」

こんこん
福太郎「ん?誰か来た」

クロ「こんな朝からか?」

福太郎「NHKかも知れん。みんな音止めて」

クロ「もう遅いだろ」

こんこん
お仙『誰ダー!』

のっぺら娘「わぁ?!」

福太郎「あら、ぺら子ちゃん」

のっぺら娘「お、おはようございます」

お仙『どしタ』

のっぺら娘「それは私の台詞なんですけど…」

ラム「彼女が例の?」

クロ「あぁ、今は顔出してるけどのっぺら坊だ」

福太郎「ほんでどないしてん?こんな朝から」

のっぺら娘「あ、そうそう。親戚からノリを送ってきてくれたのでおすそわけに来ました」

福太郎「海苔?」

のっぺら娘「はい、海苔です」

福太郎「これは……おにぎりに海苔がくわわったで!」

お仙『グレードアップだァ!』

のっぺら娘「えぇ……なんですか、この喜ばれかた。ちょっと引くんですけど」

クロ「色々あったんだよ」

福太郎「よかったら、ペ子ちゃんも朝ご飯食べてく?」

のっぺら娘「だんだんと呼び方に原型が無くなってきてる」

お仙『クルペッコだロ』

のっぺら娘「そんな鳥竜種のモンスターみたいな名前じゃないです!あと、お邪魔します」

クロ「食べていくんだな……。」

のっぺら娘「えへへ、おみそ汁のいい匂いに引かれちゃって」

ラム「素味噌汁だけどね。」

のっぺら娘「すみそしる?」

お仙『具の入っていない味噌汁ダ』

のっぺら娘「わーお…」

福太郎「バナナならあるけど」

「「「絶対に入れるな(ないで)!!」」」

福太郎「冗談ですゃん」

お仙『ちょっと美味そうダ』
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