第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋界隈ー

福太郎「ぺら子さんはこの辺りに住どるん?」

のっぺら娘「ぺら子?……もしかして私のこと?!」

福太郎「……のっさん?」

のっぺら娘「そんなおっさんみたいな……」

お仙『フクタローの名前いじりは趣味みたいなもんダ』

のっぺら娘「なかなかの悪趣味ですね。」

福太郎「恐縮です。」

のっぺら娘「褒めてませんよ?」

福太郎「そのつるっとした顔にめっちゃ触ってみたいんやけど」

のっぺら娘「自由な人だ!!」

福太郎「怖いもの見たさってあるやん。」

お仙『触るなと言われたら触りたくなるのが人情』

福太郎「そういうコト」

のっぺら娘「だとしても触られるのはちょっと……」

福太郎「んー、そっか。まぁ、女の子の顔やもんな。」

のっぺら娘「あ、いや///」

お仙『でも、いいって言われてたら触ってたよナ』

福太郎「もちろん。撫でまわしとったよ」

のっぺら娘「えぇ……」

福太郎「んっ、のぺ子さん暇ですか?」

のっぺら娘「え、あー……まぁ、忙しくはないですけど?」

福太郎「ウチ、そこなんですけど寄ってきません?お茶ぐらいだしますえ?」

のっぺら娘「えーと……じゃあ、まぁ少しだけ」



ー福太郎の部屋ー

福太郎「ただいま、お客さん連れてきたで」

クロ「誰だ?」

福太郎「のっぺさん」

のっぺら娘「名前が安定しない…」

メリー「わっ!顔がない!!」

福太郎「のっぺら娘さんらしいよ」

のっぺら娘「わぁ……本当に人形がおしゃべりしてる」

メリー「私、メリーさんよ」

のっぺら女「きゃー!本物ー!」

福太郎「メリーちゃん大人気やな」

すっきー『有名妖怪だナ』

クロ「で、どこで拾ったんだ?」

福太郎「たまたまぶつかってしもてね」

クロ「で、拾ってきたのか」

福太郎「お茶でもどうですかっていうだけやで」

メリー「ほんとにお顔がないのね。」

のっぺら娘「ふふっ。でも、こうすると……ばぁ!」

メリー「わ!顔が出てきた」

のっぺら娘「さすがに人間世界で生きてくのに顔がないままだとダメですからね」

福太郎「鼻取れるけどね。」

クロ「鼻取れるのか」

福太郎「さっきひろたんよ」

クロ「なんでも拾うなよ……どうせお前のことだから顔とか触ろうとしたんだろ」

福太郎「もちろん」

お仙『未遂だけどナ』

福太郎「許可してくれたら触りまくっとったんやけど」

クロ「やめんかい」
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