第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ラム「照魔鏡?」

福太郎「えぇ、先日座敷童子の知り合いが探しとったんやけど、見つかったんは雲外鏡やって悠君が二時間説得したんよ」

ラム「情報が混雑し過ぎて意味が分かんない」

福太郎「えーと、妖怪が映る鏡とかもってません?」

ラム「……有るわよ」

福太郎「やっぱり無い…………あるん?」

ラム「ええ。あるにはあるわ。これとか」
スッ

福太郎「ふつーの手鏡に見えますけど?」

ラム「普通の手鏡だもの。でも、魔を照らす事が出来るわ」

福太郎「ほー、ほんなら、すっきー!」

すっきー『なんすか?』

福太郎「ほいっ」
【手鏡】
すっきー『にっ!?』

福太郎「にっ?」

すっきー『う、動けないっす…!』

福太郎「動けん?腰痛?」

すっきー『ちがうっす!』

ラム「その鏡の裏には呪字が彫ってあるのよ。妖怪の正体を暴き、動きを止めるね。」

福太郎「マジで。」

ラム「マジよ。鏡をどけてみなさい」

福太郎「……」
スッ
すっきー『はぁぁ……びっくりしたっす』

福太郎「ほい」
スッ
すっきー『はぅ!』

福太郎「おー、ほんまに止まった。これ今、触り放題やん」

すっきー『やめろーっす!!』

ラム「こういう鏡なら持ってるけど。」

クロ「恋が欲しがってるのは普通に姿が映るだけの鏡だよ」

ラム「んー……そういう風に呪字を変えたらできるけど」

福太郎「えいや」
スッ
お仙『ぬー……うーごーけーなーイー』

クロ「おい、遊んでんじゃねーぞ」

福太郎「凄いコレ、キョンシーにも効果あるで」

ラム「ちょっと壊さないでよ。高いんだから」

福太郎「高いんや」

ラム「そういうのは高いのよ。あと、精霊石とか」

福太郎「殺生石?」

ラム「それは九尾の狐を封じてる石でしょ」

クロ「自由に跋扈してるけどな……九尾の狐」

福太郎「ほんなら妖怪が映るだけの鏡っておいくら?」

ラム「二十万くらい」

福太郎「んっ、聞かんかったことにしとこ」

クロ「そこそこ良い値段だなホント」

ラム「精霊石なんてひとつ五十万からよ?」

福太郎「それ、なんに使うんです?」

ラム「妖怪とか瘴気の濃いところに投げると浄化されるのよ。便利だけど高いしほとんどオークションでしか目にかからないから。だいたい五十万から」

福太郎「ラムさんって実は金持ち?」

ラム「馬鹿言わないでよ。私は精霊石なんて見たことはあっても使ったことはもちろん触ったこともないわ。その鏡だって一番小さいのを頑張ってやりくりして買ったものだし」

福太郎「おこづかい溜めたんやね」

ラム「そのいいかた、やめなさい!」
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