第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー小鳥遊邸:車庫前ー

悠「それでなんのお祭りだ?」

クロ「祭りじゃねーよ」

福太郎「実はカクカクシカジカ」

悠「まるまるうまうまか……なるほど」

クロ「今ので通じるのか」

お仙『ジャパニーズ文化』

クロ「そんな文化ねぇよ」

悠「鏡はおれが持ってるよ。持ってるっていうか保管してある。何か妖しげだったから京都に送るつもりだったんだが……」

福太郎「ちょっと借りれる?」

悠「いいよ。しかし、なんで急に顔なんて見たくなった。」

恋「別に」

悠「別にって……それこそ別段変化のない可愛らしい顔立ちに見えるが」

恋「っ……も、もうよい///」
ダッ
悠「まぁ、待て」
ガシッ
恋「ぐぇっ!」

福太郎「走ろうとした人の後ろ襟首掴んだらアカンて」

お仙『ガチョウの首を絞めたような声がしたナ』

真桜「で、どこに保管してある?」

悠「車の中。ちょっと待ってろ」

恋「げほっげほっ!」

福太郎「生きとる?」

恋「咽と首がガッてなった……」

悠「ほい、これだろ」

福太郎「これが照魔鏡」

クロ「確かに霊力を感じるが……こりゃ……」

悠「ほれ」

恋「もう必要ないのに」

悠「もうってなんだ。こんだけの騒ぎになったんだから使えよ」

恋「…………」

クロ「ちょっと待て。その鏡……」

恋「……?!」
ダダダッ!バタン!ガチャ!

「「「「……」」」」

悠「ありのままに起ったことを話すぜ。恋が鏡を見たと思ったら、急に鏡を地面に伏せ置いて車庫の中に入って鍵を閉めた。何をいってるのか分からねぇと思うが……」

真桜「何をいってるも見たままの事実だろなの」

悠「アッハイ」

クロ「……やっぱりな」

お仙『どうしたクロ!』

クロ「これは照魔鏡じゃない。「雲外鏡(うんがいきょう)」って鏡の妖怪だ。見てみろ」

福太郎「ん?わあぉ」

鏡を覗きこむと何かぶっさいくな顔に映る。

悠「だとさー、恋?」

恋『ふふふっ、悠は優しいのう。世辞を真に受けた恋は阿保じゃ。ハルマゲドン面じゃ。顔面一騎当千じゃ。自己封印するのじゃ。』

悠「駄目だ。何かぶつぶつ言ってておれの声は届いてない」

福太郎「本物の照魔鏡は?」

悠「これしかなかったから無いかな」

真桜「偽物だったら狸に売って来させても良かったかもしれないななの」

悠「いや、そのままポッケに入れるからダメだろ」

クロ「っていうか、妖怪なんだけどな、この鏡も」

真桜「妖怪だろうがなんだろうがゴミにしかならないなら処分なの」

お仙『厳しイ』

悠「さて、じゃあ、どうやって恋を引っ張り出すかな」

福太郎「悠の言葉で」

悠「肉体言語が?」
シュシュ

クロ「言葉じゃねぇ!!」

真桜「扉を壊せば早いがなかなか気の毒だから今回だけはどうにか説得してやれなの。」

「「『イェッサー』」」

クロ「なんだそのテンションは…」

この後、約二時間かけて説得して恋ちゃんは出てきました。ちなみにメリーちゃんはずっとジッとしていて筋肉痛になったそうです。……人形が筋肉痛?
94/100ページ
スキ