第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー小鳥遊邸:車庫前ー

福太郎「さてさて、掃除が終わりまして……ズズッ」

お仙『お茶が美味イ!』

クロ「当初の目的からかけ離れてるよな…」

恋「なんかスマン」

真桜「福太郎一味ども、よくやったなの褒めてやるなの」

クロ「ド上からの褒め方だな、おい」

真桜「当然なの。」

クロ「この小娘がぁ…」

真桜「子供相手にマジになるななの。器が知れるぞなの」

クロ「がるるっ!」

福太郎「完全に手の上の鯉やな」

お仙『なにその状態、釣り上げたのカ?』

真桜「手の上で踊らされてるのか、まな板の上の鯉なのかは知らんが、頑張った礼に狸ジジイは真桜が捕獲してやるなの」

福太郎「そのまえにひとつええかな。」

真桜「なんだなの」

福太郎「メリーちゃん……預けた人形は?」

真桜「あぁ、アレなら。バロンの頭に乗せてきたなの」

~~

バロン『グゥゥ…グゥゥ…』

メリー「(ひいぃぃ!ご主人様ー助けてー!)」

~~

福太郎「……大丈夫なん?」

真桜「相当な安全地帯なの。」

福太郎「んー……ならええか。」

クロ「おいおい…」

真桜「さて、ここに取り出だしたるわ一枚のお札。これを徐に捨てるなの」
ポイっ

後楽「ぴゅー、ぴゅー。」
グシャ

福太郎「おー、さも自然体を装ってお札を踏みつけた」

クロ「いや、ド不自然だろ」

後楽「拾ったからこれはおじさんのものだよな。」

真桜「欲しけりゃくれてやるなの。ジンバブエドルだけどななの」

お仙『ジンバブエェ』

後楽「んー、まぁ、金は金だしな。」
スッ

クロ「金なら1円でも拾うなコイツ」

後楽「1円だって立派な金だぜ?」

真桜「おい、ジジイ」

後楽「最近おじさんに優しくないよね。なんだい?」

真桜「物置にあった鏡をどうしたなの?」

後楽「あぁ、アレなら。質屋に持っていこうとしたところを兄ちゃんにぶん殴られて……その後のことは分からないな」

福太郎「おー、きっちり止めとるな」

恋「しかし、ということは……悠がもっとるのか?」

後楽「だと思うぜ。」

福太郎「なるほど……そーなると……」

クロ「初めっからあのアホと連絡が取れてりゃ私らは掃除なんかしなくても済んだんだな。さらにいえば恋が悠に聞けばもっともっと無駄がなかった」

恋「細かいことはいいではないか」

真桜「労働の汗はいいものだろなの」

クロ「お前らも相当いい性格だな…」

福太郎「さて、そうなったら結局悠待ちやな」

悠「おれが待たれてるのか」

福太郎「そうなんよ」

悠「悠君だよーん、きゃぴっ☆」

福太郎「んっ、おかえり」

クロ「死ねッ!」
ブンッ!

悠「よっ!」
バッ!
後楽「ごふっ?!」

悠「いきなり何だ」

真桜「ナイスディフェンス……なの」

お仙『アレハ!!』

福太郎「知っているのかお仙」

お仙『伝説のゾンビシールド!!』

クロ「ゾンビじゃないだろ、この狸は……いや、もう何でもいいから話を前に進めろ。めんどくさい。」
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