第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

恋「ちと、邪魔するぞ」

福太郎「んっ、いらっしゃい……あれ?」

恋「なんじゃ?」

福太郎「恋ちゃんだけ?悠は?」

恋「恋だけじゃ」

福太郎「んー、珍しいな」

恋「恋とてひとりで出歩くこともある」

クロ「座敷童子がそうそう勝手に出歩いてていいのか?」

恋「問題ない。恋が出歩いたとてちゃんと恋の人形があるのでな」

福太郎「そういうもんなん?」

恋「そういうもんじゃ。それより、福太郎」

福太郎「はいはい?」

恋「主に聞きたいことがある」

福太郎「んっ、なに?答えられることは答えるで」

お仙『スリーサイズ』

福太郎「えーと……」

恋「聞いとらんわ!」

福太郎「というか、自分のスリーサイズ知らんわ」

クロ「お前、口を挟むな」

お仙『私も混ざりたいんだヨー』

クロ「子供か!」

福太郎「どうぞ、気にせんと続けて」

恋「う、うむ。お主は変わった道具を持っておるじゃろ。」

福太郎「変わった道具……。メリーちゃん?」

メリー「私は道具じゃない!」

お仙『福太郎の玩具。グフフッ』

クロ「いい方がイヤラシイんだよ」
ゴンッ!
お仙『やーらーれーター』

福太郎「変わった言うたら、この呪いの筆とか呪われた手袋とか」

恋「呪物ばっかりか…」

福太郎「害はないよ」

恋「本人が平気ならそれでよいが……で、ときに照魔鏡を持って居らんか?」

福太郎「しょーまきょう?」

クロ「妖怪を映し出す鏡だな」

福太郎「鏡……普通の鏡やアカンの?」

クロ「普通の妖怪は鏡に映らないんだよ」

福太郎「そうなん?クロとか、お仙とかはうつっとるゃん」

クロ「私は神族だ。位が違う」

お仙『私は実際の身体があるシ』

福太郎「なるほど……そういう意味ではメリーちゃんも実体はあるもねんね。……ほんなら、すっきーは?」

すっきー『私も自分の部屋の鏡にしか映らないっすね。一応幽霊系っすから』

福太郎「ふむふむ」

クロ「でも、照魔鏡を?」

恋「いや、なんじゃその……恋も長らく自分の顔を見ていなくての」

福太郎「あっ!」

メリー「どしたの?」

福太郎「言われてみたら、恋ちゃん影もないな」

恋「今更じゃな……というか、恋の話を聞け」

福太郎「失礼。」

クロ「コイツの代わりに私が言うが照魔鏡はここにはないぞ。むしろ、此処にあるのは絵の道具くらいだ」

福太郎「ゲームもあるで」

恋「そうか…」

福太郎「っていうか、俺に聞くより悠やんに聞いた方がよーない?」

恋「いや、まぁ、そうなんじゃが……なんというか、の……」

メリー「ご主人様、それとなく聞きだしてあげたら?」

福太郎「んー、そうしょっか」

恋「よいのか?」

福太郎「せっかく尋ねてくれたしね。ただ、電話出るかなぁ…」

恋「それが一番の難題じゃな…」
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