第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「おれさぁ。」

福太郎「んっ。」

悠「最近……っか、結構前からかな。六本入りの缶ビールあるじゃん」

福太郎「んっ、悠が持ってきたコレやね」

悠「そうそれ。これをさ、夜中帰ってくるとき必ず買うんだよ」

福太郎「誰が?」

悠「おれが」

福太郎「えー、足りんやろ」

悠「いや、量的にはもちろん足りないし、家には必ずストックあるんだけどね。」

福太郎「なのに買って帰るん?」

悠「うん、買って帰って部屋で飲むんだけど……ぶっちゃけ夜中に帰ってきてる時点でもう半分寝てるんだよね。」

福太郎「寝に帰ってきとるんやもんね」

悠「我慢できなかったら人の家とかに上がるんだけどね。」

福太郎「コレ?」
小指ノ

悠「女の家だけどまったくフラグは立ってない、立たない系の女のね。あとは茶屋とか……まぁ、それはいいとして、眠たいのについついビール開けるんだ。それで調子がよくて5本かな、大抵は3本ぐらいで寝ちゃうんだけどさ。」

福太郎「最低でも半分は飲むんやね」

悠「それで朝起きたら、最後飲んでたビール缶の中に半分か1/3くらい残ってるんだよ。それを寝起きに飲むんだ。酒っ気が抜けてて生ぬるい液体っていうか汁?不味いんだけど……なんか、すっげー美味いのよ」

福太郎「ふんふん」

悠「それがおれのちょっとした楽しみって話し」

クロ「長ぇよ!何の話しだよ!」

悠「だからちょっとした楽しみの話し」

福太郎「ちょっとわかる気がするわ」

クロ「分かるのかよ…」

悠「だしょ?」

クロ「だしょって……」

悠「あと、もうひとつが余ったビールの缶を詰んでいくの。だんだんとタワーになって行くのが楽しい」

福太郎「たのしんや」

悠「うん。楽しいの」

クロ「やってることがおっさんだよな」

悠「今回ばかりは否定しない」

福太郎「んー……あれ、朝起きて温いビール飲むって……飲酒して学校?」

悠「うん」

クロ「「うん」じゃないだろ。」

悠「むしろ飲酒せずに学校行ってない時がない」

クロ「色々とダメだろ」

悠「なせばなる!」

クロ「なったらダメだって言ってんだよ!」

福太郎「大学生にはそういうん居るかも知れんけどね」

悠「福ちゃんはどんな感じだった?」

福太郎「俺は……まぁ、ええやん」

悠「あ、うん。」

クロ「なんだよ、言えよ」

悠「クロ、空気読もうよ」

クロ「お前にだけは言われたくねぇぇぇ!」

悠「おれは空気なんて読まないよ。空気は吸うか打ち出すものだから」

福太郎「空気を打ち出すっていうんが読むより凄い件」

悠「龍剄の基本だからな。これができないと……」

福太郎「駄目なん?」

悠「いや、駄目ではない。」

クロ「なんだよソレ…」

悠「いや……おっさんがその辺りのことは教えてくれなくてな。嫌がらせか何かわかんないけど」

クロ「嫌われてんだろ」

悠「嫌われてるほうがいいよ…。むしろ、変な好かれかたしてるから容赦ないことをしてくる」

福太郎「愛やね」

クロ「違うだろ…」
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