第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋界隈ー

福太郎「値段が書かれてない寿司屋と気さくな回転寿司屋どっちがええ?」

クロ「どっちでもいい。」

福太郎「んっ、そーなん?」

クロ「何がだよ」

福太郎「んっ、いや、お高くてご立派な寿司屋がええんでないかなーって思って」

クロ「そりゃ高けりゃ美味いだろうけど。私は正直別々の寿司ふたつを並べられて味の聞き比べができる程いい舌を持ってるつもりはねーしな。それだったら回転寿司で気軽に食えた方がいいってのもある」

福太郎「やだ、さばさばしてて素敵」

クロ「……褒めてんのか?」

福太郎「もちろん。」

クロ「……」

福太郎「ほんならお財布も優しい回転寿司で」

クロ「いいんだけどな、いいんだけど……なんかムカつく」

福太郎「んっ、ちなみに他どっかいきたいところある?」

クロ「買いもん」

福太郎「そういえば冷蔵庫空っぽやったね。」

クロ「忘れてたんだな」

福太郎「んっ」

悠「うちも冷蔵庫よく空っぽになるんだよな。」

クロ「ぎゃっ!」

福太郎「食欲旺盛な娘がおるもんね。」

悠「そうなんだよ。旺盛過ぎてキャベツとか丸かじるときあるぐらいだし」

福太郎「食物繊維はたっぷり取れるねぇ」

クロ「……いや、ぶん殴っていいか?」

悠「どうした?!」

福太郎「どつき漫才?」

クロ「じゃねーよ!なんでいつからどうやって沸いた!」

悠「いつもニヨニヨ這いずる癒し悠君です!」

クロ「黙れ害虫」

悠「え、益虫だし!」

福太郎「アシダカグモとか?」

悠「スパイダーマッ!」

クロ「黙れクモ男」

悠「アメリカではヒーロー、日本ではライターの怪人。言い方次第で全然違うよね。」

福太郎「怪人とヒーローの差やね」

クロ「蜘蛛は基本悪役だしな」

悠「美人だったらおれは悪でもありだと思う」

クロ「お前の守備範囲は虫もかよ」

悠「完全に蜘蛛はキツイけどアラクネ的なのだったら……大丈夫な気がする」

福太郎「上半身が人間で下半身蜘蛛的なアレ?」

悠「そーそー」

クロ「そーそーじゃねぇよ」

悠「曹操?」

クロ「誰だよ」

悠「曹猛徳。中国後漢末の武将、政治家。詩人、兵法家としても業績を残した。字は孟徳(もうとく)、幼名は阿瞞また吉利……」

クロ「聞いてねぇよ!」

悠「ところでふたりは買い物か?」

福太郎「んっ、デート」

悠「マジで?!」

クロ「別にデートじゃねーよ!」

悠「それは邪魔したな」

福太郎「んっ、全然」

クロ「私の話を聞け!」

悠「お詫びといってはなんだけど。よかったら使ってくれ、ゴム」

福太郎「ポケットから平然とゴムが出てくるってどうなん?」

悠「備えあれば憂いなし……かな」

クロ「いらねーよ!」

ベチッ!
悠「ゴムをぶつけられるプレイってどうだろうか?」

福太郎「マニアックかな」

クロ「もうその話しはやめろ!」
77/100ページ
スキ