第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「……」

お仙『……』

芳香『あー……』

福太郎「見比べたら似とるようで別もんやな」

クロ「別物っていうか別人な」

福太郎「んっ、あぁ、そっか」

お仙『アイドルっぽいのが私で、女優っぽいのが芳香ダ』

クロ「調子乗ってるなぁ」

福太郎「まぁ、好みってあるゃん」

お仙『じゃあ、女優っぽいのが私で、アイドルっぽいのが芳香ダ』

クロ「かわってねーよ!」

お仙『歌って踊れてさらに芝居もできるのが私カ?』

クロ「うるせぇよ。土に返すぞ!」

お仙『土葬はイヤ~』

福太郎「死人ギャグやな」

メリー「違うと思うの」

芳香『ぐーあー……』

福太郎「んで、芳香ちゃんはさっきからなにを……んっ、これはもしかして」

クロ「どした?」

福太郎「目開けて寝とるパターンちゃう?」

芳香『ぐーあー……うーあー……』

お仙『死人あるあるダ』

クロ「目を開けたまま寝る……わかるかっ!」

福太郎「……りんねさんも目開けてねとるんかな?」

メリー「先生は……えーと、生きてるほうが強い感じだからちゃんと目を閉じてるんじゃないかな」

お仙『朝起きるとバラバラ死体みたいになってるかもナ』

福太郎「寝相悪い系かな」

クロ「寝相程度でそんなになるかよ……いくらなんでも」

福太郎「夏場は相当もろかったで?」

お仙『傷みやすい時期だからナ』

福太郎「せやったら冬場は頑丈?」

お仙『冷凍庫に肉を入れといたら硬くなるだロ?』

クロ「その例えやめろ」

福太郎「ってことは……仮に夏場は心臓を冷凍庫に入れといたら涼しいんかな?」

お仙『心臓が凍るのはまずいと思ウ』

福太郎「あぁ、そっか」

クロ「心臓を抜き取る時点で大問題だよ!!」

福太郎「クロのツッコミが有ると安心してボケれるなぁ」

クロ「ボケなくていいよ無理に!」

福太郎「全然無理しとらんよ。むしろ自然な、そう自然な流れ」

クロ「めんどくせぇ」

お仙『芳香起こそうか?』

クロ「余計めんどくさいことになるからやめろ!」

福太郎「死人専用のボケが飛び交うかも知れんで?」

クロ「そんなもんお仙で満幅だよ」

お仙『でも、臓物や肉片が飛び交うよりはいじゃないカ』

クロ「飛び交ってたまるか!」

福太郎「俺はたまに見るけどな。とび散った後のを」

クロ「それはりんねにいえ」

お仙『もしも私がゾンビだったら……どうすル?』

クロ「ゾンビもキョンシーも大してかわんねぇだろ!何だその微妙な問いは!」

お仙『ぜ、全然違うシ!キョンシーは素敵でゾンビは下等だシ!』

クロ「お前の確執何か知るか!」

福太郎「ゾンビは下なん?」

芳香『同じ死人同士上も下もないぞー』

お仙『なん……だト?』
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