第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー古びたロッジー

沼田「こっちだ。こっちから反応が……」

沼田のダウジングを頼りに死体を追っていた一同はロッジの前に辿りついた。しかし、ほぼ同時に何かが爆ぜたような音が響く。

福太郎「今のってもしかして……銃声?」

沼田「死体もあっちだぜ。撃っちまったんじゃえかドロボウと間違えて」

岬「違うわね……。普通ドロボウだからって撃つかしら」

牧野「じゃあどうゆう事?」

ラム「行ってみるまで分かんないってことでしょ」

九郎「すいませーん誰かいますか?って、人住んでるのかえらいボロだし暗いぜ…」

岬「ちょっと!あそこ…何かあるわ」

沼田「どこだ?」

沼田がペンライトで床を照らすと撃ち抜かれて頭部や腹部がぐちゃぐちゃになった人間の死体が転がっていた。

牧野「キャッ」

岬「そ…それ藤沢冬也の死体じゃないの?」

よく見てみると手には指輪、それに這いずった例の裂け傷が残っている。

九郎「あ…ああそうに違いないしかし誰がこんなにまで…」

沼田「お…おい前……」

九郎「え?」

ライトの光を追って前に向くと……全裸の女性が椅子に座っている。精気が無いところをみると死体だろう。

福太郎「これって……山川有希?」

沼田「いったいどうゆう……」

岬「気をつけて死体をすりかえた犯人がまだその辺りにいるんだわ!」

「「「!!」」」

岬「ラムちゃん……!?どこ……?」

瞬間、電気がついた。壁際で眼鏡をかけた男がいてラムは口を押さえられ拘束されていた。

福太郎「ラムさん!」

眼鏡の男「動くなっ!なんなんだ貴様らッ…なぜおれ達のことを知っている。」

猟銃らしきものをこちらに突きつけてくる男。この銃で彼を撃ったのだろう。

岬「彼に…藤原冬也に聞いたのよ…彼女の側で死にたかったって…」

眼鏡の男「ソ…ソイツはバケモノだ…。死んだくせに動いて俺の有希に会いにきやがったんだ…俺の有希に…」

岬「俺のって…あなた父親じゃ」

山川「有希は…有希は俺の女だ。有希と俺は親子以上の関係なんだよ…そいつが手を出すずっと前からな…クックク」

沼田「ひでえオヤジだ…」

山川「だからなんだっお前らに関係ないだろっ!有希だって毎晩喜んでたんだ!」

九郎「もうやめろよ死んだ奴をこれ以上いじめんなよ」

福太郎「唐津君?」

九郎「じゃねーとうるせぇんだよ。二人が助けを求める声がよ。」

山川「な…何いってんだお前…」

九郎「もう一度言うぜ…もうやめろ」

山川「ふざけるな」

九郎「…そう」

九郎の背後に何か異様を感じた。なにも居ない、なにも見えないはずだが……何か異質の気配がある。

その瞬間、倒れていた彼が再び動き出した。

冬也『う…ぁ…』

山川「またっ……貴様は死んでろ!」

猟銃で冬也を撃った。しかし…倒れない内臓がこぼれ落ちながらまっすぐ山川へと向かって歩き出す。

冬也『あ゛ぁ…』

山川「バケモノめ!」

拘束していたラムを突き飛ばして猟銃を再びリロードする。しかし、その動きは一人の女性によって止められた。山川の背後から腕が伸び押さえつける。

有希『……』

山川「わっ……有希!?」

冬也『あ゛あぁぁ゛……!!』

山川「やめ、ぐわあぁぁぁぁ!?」

冬也は山川の首を締め始める。どれほどの力がこもっているのか首を絞めているのか山川は白目をむいて泡をふきだした。

このままでは山川は絞め殺される、そう誰もが思った時……。

九郎「はっ……」

山川「か……はっ……」

冬也も有希も不意にだらんと腕が下がり、今まで吹きだしはしなかった血が傷という傷から血がこぼれ出した。山川の全身に血と肉片を吹きかけてただの死体に戻ったらしい。

後に残ったのは息はしている山川と二つの死体……。

福太郎「……どうなっとん……コレ?」
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