第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「ビデオ拾って来た」

福太郎「……いきなりやな」

悠「いや、福ちゃんのところビデオデッキあっただろ?」

福太郎「あるよ。VHSも」

悠「……なんで?」

福太郎「うちの前ってなんや電化製品よう捨ててあるんよ。新品同前やからもらってかえってなぁ」

悠「ふーん、そういや……あの、大型冷蔵庫も拾い物っていってたな」

福太郎「そうそう、あれなんや手形がいっぱいついとったけど拭いたら落ちたし、このビデオデッキも何か紙が貼ってあった形跡があるだけで全然動くで」

すっきー『あたしがいうのもなんですけど……よくそんなもん拾ってきましたね』

福太郎「もったいないゃん。おかげでウチは家電には費用ゼロですんどるのに」

すっきー『はぁ……』

悠「さっするに……保険の効かないのより効く新品買った方が良いって話ししてるんだな」

福太郎「違うなぁ」

悠「そっか…………そうかぁ……」

メリー「なんでそんなに落ち込んだの?」

悠「いや、これで当たってたらおれにも霊感が芽生えて来たんじゃないかと思える予定だった」

福太郎「せやけど、実際聞こえて無いんやから、その場合上がったんは霊感やのうて勘のよさになるんちゃう?」

悠「冷静にいってるれるなぁ。これだから福ちゃんはおれをそそらせるんだよ」

福太郎「俺はそっちの趣味無いで」

悠「お、おれだってねぇーし」

すっきー『なんか言い淀み方が嫌っすね』

悠「まぁ、いいやビデオかけるぞ」

すっきー『えっちなのじゃないでしょうね』

福太郎「なんのビデオか全然わからんの?」

悠「いや……ラベルにっ……す、スナフフィルムって書いてあるな」

福太郎「ふーん」

すっきー『スナフィルム……ってもしかして』

ようよう「スナッフフィルム?」


~都市伝説~

【スナッフフィルム】
スナッフフィルムとは、娯楽目的で作られた本物の殺人の様子を撮った映像作品のこと。

~~

悠「よーし、かけるぞー」

メリー「おもしろい物だといいわね」

福太郎「せやねー」

すっきー『ちょっ、待って!!そんなビデオみちゃダメです!!』

悠「スイッチオン」


ジジ……

『あんまり誰かを崇拝するということは自分の自由を失うことなんだ……』

『いつも優しく愛想よくなんてやってられないよ理由は簡単時間がないんだ』


福太郎「ぐすっ……こんな風にいきたいわぁ」

悠「いい言葉だなぁ……」

メリー「かっこいい……」

すっきー『……なんすかアレ』

ようよう「スナフキンだな。ムーミンの」

すっきー『スナフキンのビデオ……スナフキンのフィルム……スナフフィルム……?』

ようよう「だな」

すっきー『がくりっ……』
49/100ページ
スキ