第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー某大学仏教部:ボランティア友の会部室ー

福太郎「変って……なんがです?」

部室の中央のテーブルに全裸になった死体を囲んでいた。

ラム「この死体そのものよ。」

岬「この死体、死んでから動いた形跡があるのよ」

九郎「ハ…ハハ、まさか」

岬「ホントよ。この死体私たちが発見したときには横たわってたけど、首にくっきり残る紐のあとと手足にでる死斑(しはん)から首つり自殺にまちがいないわ…横になっても手足の死斑が消えてないのは死後十時間以上は首を吊った状態だったってことよ。だけど」

岬は死体の手の平を指さした。その手は生傷だらけのうえ爪なんかは割れている。

福太郎「ボロボロやね。」

岬「そう。この……まるで地面をはいずってできたように見えるこのすり傷はなんなの…?」

沼田「一緒に死んだ彼女が恋しくて魂が肉体を動かした……か」

牧野「あっもしくわ~イタコである唐津さんに会うためとか……」

岬「あ~~それだっ」

九郎「オイオイッ決めつけんじゃねーよっ!だいたいいいのか俺たちがこんな検死みたいな事して…」

谷田「警察だったら樹海の自殺体なんて捜査すらしませんよ……」

マペット『ヘタすら見て見ぬふりだ』

福太郎「そうなん?」

ラム「えぇ。(だから、今の世の中でも私(道士)がキョンシーを運ぶって仕事が通じたりするのよ)」

福太郎「(なるほど)」

九郎「でも俺たちだってコイツの彼女が見つけられなきゃ同じことだぜ…」

福太郎「んっ、ちなみにあの樹海にはないっぽいで彼女さんの死体」

岬「どうして分かるの?」

福太郎「この子に聞いたんやけど、一緒に死んどったはずの女の子の死体だけ無いなったらしいよ。どうしてかまでは不明やけど」

九郎「この子って……どの子だよ?」

福太郎「ほら、死体の肩についとる」

福太郎が指さした先には一匹の虫が手足をすり合わせている。

蠅『……』

「「「……」」」

ラム「私から捕捉させてもらうと、この御堂福太郎にもょっと変わった能力があるの。生き物と会話できる能力。」

福太郎「相手側が意思の疎通を拒否したりしたらでけんけど、一応虫でも動物とでも話せます。信用されんかなーおもててだまっとったけど、もうええかなって」

牧野「えー、なにそれ、すっごいメルヘン!」

福太郎「いやー……そんなことないで、ペットとかも意外とエグイ毒吐くし」

マペット『だったら宇宙語とかも平気なのか?ピカルン語の翻訳を……』

谷田「黙ってろって。」

マペット『むぐぐ!』

福太郎「俺の能力はともかく、唐津君の能力やったらもっ詳しいことがわかるんちゃう?」

九郎「俺に聞き出せってことか」

ラム「そういうことね」

唐津は死体の胸に手を置いた。

九郎「……『…ボク…の名前は藤原冬也…彼…女は……山川有希』」

牧野「山川有希って……あっ元ドキッ娘の一番左のコじゃん。」

岬「何それ……?」

沼田「TV番組で企画して売り出した清純派アイドル…………だな。すぐ解散したが」

岬・牧野・ラム「「「ふ~~ん」」」

沼田「……」
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