第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー青木ヶ原樹海ー

岬「見る?モザイクなんてないわよ?」

九郎「いいよ」

福太郎「んー、俺もそういうは別にええかな」

九郎「それより、あのでかいのは?」

唐津君は革ジャンの男を指さした。

岬「ああ、沼田くんね。彼はダウジングの才能があるの」

福太郎「ダウジングって地下の水道管とか探す?」

岬「そうそれ。ま……彼の場合、死体を見つけちゃうんだけど」

九郎「はあ?」

岬「で、あそこで死体にお化粧してんのが牧野ちゃん。ああ見えても彼女留学して海外でエンバーミングの資格を取ってるの」

九郎「エンダー?」

福太郎「エンバーミング。死後処理のことやね」

ラム「えぇ、そうよ。」

九郎「うわっ、びっくりした」

福太郎「おかえりんこ」

ラム「ただいまん…………ぶっ飛ばすわよ?!」

福太郎「いや、そんな見事に引っかかるとは思わんかったもんで……あ、この人は俺の知り合いのチン…」

ラム「ラム!ラムよ!!」

岬「そっちは見つかった?」

ラム「いいえ、けど何か妙な気配……ううん、何でもないわ」

九郎「子供?」

ラム「違う!!」

岬「唐津君のひとつ後輩よ?」

九郎「マジで!!」

福太郎「マジらしいよ」

ラム「失礼しちゃうわ!」

福太郎「いや、普通に誰がどう見ても勘違いしますやろ」

ラム「呪うぞ」

福太郎「堪忍してください…。」

ラム「はぁ…」

岬「いいじゃない、将来的には若々しいままよ?」

ラム「ロリババァ枠なんていやよ!」

九郎「それよりもあのお人形と喋ってんのはなんだ?」

岬「彼は谷田君。チャネラーよ」

「「チャネラー?」」

福太郎「アムラーみたいな?」

岬「違うわよ。あの人形を通じて宇宙人と交信(チャネリング)してるんだって」

九郎「うちゅー?」

福太郎「小宇宙(コスモ)が爆発するんかな」

ラム「なに星座よ」

福太郎「ラムちゃんは道士やから……張り合えるね」

ラム「黙れ」

九郎「……へぇそりゃスゲーやハハハ……あのさオレ帰っていいかな……」

岬「あ……ちょっちょっと」

『おい、そこのハゲ』

九郎「あん?」

そう呼びとめたのはチャネラーの谷田君の……手にはめられた人形だった。

マペット『てやんでいコンチキショーテメェ俺様のことをまるっきり信じてねえなっ!テメェひとりだけ常人ぶりやがってスットボケてんじゃねーぞ。俺様にはちゃ~んとわかってんだぜ…この中じゃテメェが一番並外れた能力者だってな』

九郎「……」

福太郎「能力者?」

谷田「ご…ごめんなさい。今のはボクじゃなくて…」

九郎「いいよ…続けなよどーゆーこと?オレが普通じゃないって」

岬「ちょっと唐津君」

マペット『オメェの後ろのやつの事をいってんだよ!』

岬「後ろ?」

ラム「……へぇ」

福太郎「ラムさん?」

ラム「しっ」

マペット『ホラ…ゆっくり振り返って見な。……ソイツはお前が引き寄せちまったんだぜ…』

全員が唐津君後ろを見るように振り返った。

そこには死体があった。さっきまで、いや、今まではなかったはずの場所に男の死体が転がっていた。
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