第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「……」
ペラペラ…
ペラペラ…

メリー「ご主人様なに読んでるの?」

福太郎「ん、あぁ、これ悠のノートなんやけどな」

メリー「変態のノート?」

福太郎「本人がおったら、ちゃんと名前で呼ぶンやで。」

メリー「はーい」

すっきー『福さんてけっこう強(したた)かですよね…。』

福太郎「せやろかなぁ。」

メリー「それで何が書いてあるの?」

福太郎「色々やな。ドラゴンのこととかクトゥルーとか」

メリー「くとぅるる?」

福太郎「クトゥルー。ラブクラフトが……は正確やないけど書いた小説や」

メリー「ふーん?」

すっきー『あれですよね。宇宙怪獣にスーパー反転稲妻キック』

福太郎「なにをどう間違えたんか知らんけどクトゥルーは宇宙怪獣やなくて旧神とかやから。ガンバスターでノリコタカヤのホームランや、ジャコビニ流星アタックはちゃうから」

すっきー『めちゃくちゃ詳しいじゃないすか』

福太郎「俺も一時期はロボットとか好きやったからな」

メリー「今は嫌いなの?」

福太郎「普通かな。最近のはゴテゴテし過ぎてようわからんのや」

メリー「お人形は?」

福太郎「メリーちゃんは大事にするで」

メリー「……えへっ//」

すっきー『うわぁー……なんなんすか、この媚び媚び人形』

福太郎「ええやないの。人形は媚びるもんやん」

ようよう「普通の人形はこびねぇけどな」

メリー「ふーんだ。」

すっきー『けど、悠さんて見た目の割にきれいな字っすね。』

福太郎「それこんど伝えてええ?なおかつその場合、居場所を詳しくナビゲートしてもええ?」

すっきー『やめてくださいっす。全力でやめてくださいっす。』

ようよう「もはや、トラウマってるな」

メリー「幽霊にトラウマ負わせれる人間なんて、後にも先にもあの兄ちゃんだけだろうな。」

福太郎「陰陽師とか払い師とかのが怖いんとちゃうの?」

すっきー『そういうのも怖いっスけど……見えもしないし触れてる感触もないうえ、能力や状況的には優位に立ってるのは自分なのになぜか攻めてこれる……そのなぞの不気味さが怖いんです……。』

福太郎「まぁ……引きずり出されるとかは恐ろしいわな」

メリー「頭から噛みつかれるのももの凄く怖いわよ……」

ようよう「すげぇな……全員にバランスよくトラウマ与えてやがるぜ。」

福太郎「対都市伝説生物なんかも知れんね」

ようよう「ま、兄さんも大概だけどな、おいらとしちゃあ何だかんだであの兄ちゃんを操作してる兄さんのがけっこう凄いと思うぜ」

福太郎「そんな大げさなことしとらんて……ってか、悠が人のいうこと聞いて動くなんてことは無いから」

ようよう「……それもそうだな」

福太郎「さーて……布団干してちょーっとでかけてこよかなーっ」
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