第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

メフィスト「人魚の木乃伊はダメデスか?」

福太郎「んー、うち猫おるんで食べたら困るし」

お仙『犬も居るゾ』

クロ「食うか!っていうか犬じゃねぇ!!」

メフィスト「デシたら……鬼の腕とかどうデス?」

悠「地獄先生?」

福太郎「ぬ~ぼ~」

クロ「いいから、そういうの」

悠「ぬ~べ~じゃなくて「ぼ~」のほうをいうところが福ちゃんだ」

お仙『ところで鬼の腕ってなんダ?』

メフィスト「正確に言うと鬼のような生き物の手デスね。行きつけのお店デ衝動買いしたんデース」

悠「衝動的に何か得体の知れないモノの腕買うってなんなんだ」

福太郎「背中かくんには使えそうにないし鬼の腕もなぁ」

クロ「孫の手じゃねーんだぞ?」

メフィスト「むむっ、ここマデ貴重な品に目もくれないとは……」

メリー「普通に考えて木乃伊とか腕とか欲しがらないと思うの」

悠「猿の手とかだったら欲しがる人いるかもな」

福太郎「最終的にバッドエンド確定するけどね」

メフィスト「デは、お礼は少し考えさせて下さい。いい物を考えておきマスから」

福太郎「はぁ、わかりました。」

クロ「納得するのかよ。っていうか、受けるのかよ」

メフィスト「デは、失礼しマス」

悠「期限とか言わずに帰るんだなあの人」

福太郎「多分、出来あがった頃にひょっこり現れるんゃろ」

クロ「見張られてる感があって怖ぇよ…」

悠「悪魔だからな」

クロ「いや、それで納得できねーから」

悠「怖いならおれが抱きしめてあげよう」

クロ「自分の首でも絞めてろ」

悠「……おれに抱きしめられたい人、腕の中あいてますよ?」

お仙『……』

メリー「……」

すっきー『……』

福太郎「りんねセンセ呼んでこよか?」

悠「いや、あのひと抱き絞めたらぐちゃりってなりそうだし」

福太郎「そこまでは傷んでないよっと……ふむ。」

悠「明らかになんかの呪文字だな。これ」

福太郎「何か分かる?」

悠「さっぱり、おれが見て分かるのはこっくりさんの紙だけ。」

メリー「こっくりさんてクロのことでしょ?」

すっきー『狐と狗と狸とか動物霊の総称でそーゆー霊に答えてもらう占いだから「狐狗狸(こっくり)」さんっすよね』

クロ「私は違うっていうか犬じゃねぇ!!」

福太郎「というか、根本がちゃうよ。テーブルがなかった時代に作った不安定な簡易テーブルがこっくりこっくり傾くから「こっくり」って名付けられたらしいで、道理を告げるから「告理」って説もあるけど」

メリー「えっ、でも動物霊が降りてきて答えてくれるってきくけど?」

福太郎「日本人は結果に理由を求めるからなぁ。何かしらのせいにしたがるんよ。どっちにせよ「狐狗狸」っていうんは当て字やね。元々は西洋の交霊会でやるテーブルターニングいうYES/Noゲームが起源で民間に流行したときにはハナっから科学的に不覚筋動による無意識動作(オートママティズム)を理解した遊びやったんやけれど。明治時代にこの国に漂着した米国船員が伝えた頃にはそんなことも理解でけんかったからな。勝手に動くその現象を心霊現象として捉えちゃったんやろうな」

悠「起源はどうあれ今ではれっきとした霊界交信術かもな」

福太郎「鰯の頭も信心か……なるほど」
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