第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「編物戦略~!」

福太郎「いまーじーん」

針妙丸「おー」
パチパチ

クロ「何だそりゃ…」

お仙『ピングドラムダ』

クロ「あ?」

悠「まず1、糸端を左手の親指に2、3回巻き付ける。糸の長い方があみ糸になるからな」

針妙丸「お仙さん、手をお借りしますね」

お仙『任せとけ動かないことには自信があル』

クロ「死後硬直だろ」

福太郎「ほんなら、俺もやってみよかな」

メリー「私は針妙丸ちゃんのお手伝いするね」

悠「それじゃ、2、あみ糸を人差し指の向こう側から、中指の手前側、薬指の向こう側、小指の手前側とわたす。」

福太郎「こうして……こうやな」

メリー「針妙丸ちゃん、そっち持っていって」

針妙丸「よいしょ、よいしょ」

お仙『私はこれ結構暇だナ』

クロ「まぁ、置物みたいなもんだしな」

悠「次に3、小指の向こう側、薬指の手前側、中指の向こう側から人差し指の手前側に糸を渡す」

福太郎「はいはい、こうやな」

メリー「よいしょ、よいしょ」

針妙丸「うんしょ、うんしょ」

お仙『なんかこれ癒されル』

福太郎「小動物ってええよな」

悠「ハムスターとか、オムスターとか、ジャンガリアンとか、ゴールデンとか」

クロ「何か変なの混ざってたぞ」

悠「はい、続けますよ。4、人差し指をぐるりと回して、4本の指の向こう側にあみ糸を渡す。そして小指から手前側に糸を持ってきて、親指の背側にたらす。ここまでいいか?」

お仙『大丈夫ダ。問題なイ。』

クロ「いや、お前が言うなよ」

悠「問題ないな。じゃあ、続き5、右手で小指に巻き付いている糸を横糸の下から引き出す。引き出した糸のループを横糸の上から小指にかける。」

メリー「ちょ、ちょっと待って分からなくなってきた」

針妙丸「横糸から引き出して……あれ?」

福太郎「引きだした糸をこうやな。」
スッスッ

悠「そうそう。6、薬指も同様に、横糸の下からループを引き出して横糸の上から薬指にかける。」

悠「7、中指、人差し指も同様にかけかえたら、また4のように糸を渡し小指から糸をかけかえる。あとはこれを繰り返す。」

福太郎「あっ、指がつりそう…」

悠「ちなみに慣れてきたらノールックでできるようになるぞ」
スッスッ
サッサッ

クロ「何か動きがキモイ」

悠「ふんふんふーん♪はい、簡単ミトンの完成」

福太郎「早っ」

悠「ただ、急いだら網目がゆるんだりするからちゃんと丁寧にやる方がいい。」
シュルルルッ

クロ「って、ほどくのかよ」

悠「今のは雑だったからな。ちゃんとやりなおす。おチビちゃん達のを見つつな」

針妙丸「おチビじゃなく針妙丸よ。小名針妙丸」

悠「スクナ……って、一寸法師のモデルの?」

福太郎「悠、その件(くだり)はもうやったよ」

悠「あ、スイマセン」

お仙『ぐぅぅ…』

クロ「目を開けたまま寝るな」
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