第七夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「……っと、言う感じで少なくとも今日の深夜0時になるまでは帰れへんのよね」

針妙丸「なんと…」

クロ「何回この説明してきたかな」

お仙『手慣れたもんじゃないカ』

クロ「いや、お前はこの件にまだ関わって日が浅いだろ」

お仙『心ガ!!』

クロ「もうその力説もいいから!!」

福太郎「まぁ、どう足掻いても夜中までは帰れんので諦めて楽しむなり楽しむなり楽しむなりしてください」

針妙丸「全力で楽しめっていうことを強要されてるのはよく分かったわ」

福太郎「理解が早くて助かります」

針妙丸「だけど、私みたいな小さいのがどう楽しめばいいの?」

福太郎「んー、せやねぇ。とりあえずメリーちゃんとサイズが似とるし、友達になってみたら」

メリー「ご主人様ったら変なこと言うのね」

福太郎「ん?」

メリー「私と針妙丸ちゃんはもうお友達よ?ねー」

針妙丸「えっ、あっ……はい。」

福太郎「んっ、なるほど」

お仙『友情っていいナ』

クロ「背中がかゆくなるのは私だけか?」

お仙『蚤じゃネ?』

クロ「ぶっ飛ばすぞ!」

スパァン!
お仙『もう叩かれたんだけド』

福太郎「これが関西のどつき漫才や」

クロ「私はそもそも関西人じゃねぇ!」

お仙『そもそも人じゃねエ』

クロ「うるせぇ!」

福太郎「ところで針妙丸ちゃんは少彦名(スクナヒコナ)と関係あるん?」

針妙丸「おぉ、知っておられるのか」

メリー「スクナヒコナ?」

福太郎「一寸法師のモデルの神さま」

針妙丸「いかにも、私は一寸法師の末裔なのよ」

福太郎「ほー」

針妙丸「……えっ、何か私すべった?それともまったく信じられてない?」

メリー「違うの。ご主人様は感情の起伏が少ないだけ」

福太郎「普通にめっちゃ驚いとるよ」

針妙丸「そんな感じが全然しない…」

福太郎「んー……でもほら、オーバーリアクションのほうがかえって嘘臭い場合ってあるやん。深夜のアメリカンコント風の通販番組とか」

針妙丸「どういう例えなのか分からない」

お仙『めちゃくちゃ美味い料理を食って大騒ぎするより、静かにうち震える方が美味さが際立つ感じダ』

クロ「いや、その例えもどうなんだ」

針妙丸「なるほど」

クロ「納得できたのかよ!!」

針妙丸「イマイチ理解しがたいこともあるけど福太郎さんがポーカーフェイスだというのは分かったわ」

福太郎「ポーカーフェイスなつもりはないんやけどな」

クロ「顔色一つ変えずたんたんと内臓と脳漿を掻き集めて中に戻せるヤツがポーカーフェイスじゃないとしたら無表情だよ」

針妙丸「内臓と脳漿を掻き集める?!」

メリー「気にしないでたまーにだから」

針妙丸「たまーにでも相当異常な事じゃないの?!」

お仙『これが現世ダ』

針妙丸「現世怖い…」

福太郎「いや、これは現世でも非常に稀なことやからね。」
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