第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー児童養護施設ー

後楽「今月分持って来たぜ」

女性「いつも本当にありがとうございます」

男児童A「おいちゃーんあそんでー」

女児童A「だっこしてー」

後楽「しかたねぇな。ほらほら、順番だぜ」

悠「……」

福太郎「……」

悠「福ちゃん、あれ目玉落としたか知れないその辺りに落ちてないかな」

福太郎「悠、落ち着き、なんかいうようことおかしいから」

女性「あら、お客様ですか?」

悠「tiger&bunnyです」

福太郎「なんでやねん。あの、すんません。あっちにいる彼はいつもああなんですか?」

女性「ええ、毎月寄付をしてくださって本当に助かっています。後楽さんがいなかったら施設を維持できないくらいで」

悠「……」

福太郎「……」

女性「此処にいる子供たちも行き場を無くして困ってるところを後楽さんが連れて来たんです。だから皆、後楽さんに凄くなついてて本当にいい人ですよね。」

悠「……」

福太郎「……」

女性「あの、もしかして後楽さんのお知り合いのかたで?」

福太郎「ん、ま、まぁそんな感じです。ありがとうございました」

女性「はい、それでは失礼します。どうぞ、なにも有りませんがゆっくりしていってください。」

悠「なんてことだなんだかとっても燃やしちゃいけない雰囲気だな」

福太郎「クズニートから超ボランティアマンになってしもたな」

メリー「狸のおじさんも世話好きなの?」

福太郎「メリーちゃんまた勝手に着いてきて……」

後楽「なんだよつけて来たのか、お前ら」

悠「ああ……」

後楽「監視するほどおじさんのこと好きなのか?jまったく仕方ない奴らだ、抱きしめてやるからこっち来い」

悠「焼き殺すぞ」

メリー「狸のおじさんは生臭駄目坊主と見せかけて実はいい人きゃらだったのね」

後楽「勘違いすんなそんなんじゃねぇ。仕事の一環としていい人の振りをしてるんだよ」

福太郎「仕事?」

後楽「ああ、おじさんの仕事は人を「化かす」ことだから。にっひっひ。元が悪けりゃいい人の振りをすりゃ人を化かしたことになるから楽でいい」

メリー「それは照れ隠し?」

後楽「そう思うなら、お嬢ちゃんももうおじさんに化かされてるんだよ」

福太郎「またまた、照れて……」

後楽「おじさんはいい人なんかじゃねぇよ。だって……あの子ら皆おじさんが取り憑いた家の子の末路なんだぜ?流石に心痛むよねー」

悠「てめぇが諸悪の根源かよっっ!!!」

メリー「まー……」

福太郎「あかん、感動した。数分前の自分を殴り殺したい……」

クズはやっぱりクズだった……
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