第禄夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋:古風な飯屋ー

老店主「しかし、本当に猫の絵で鼠が逃げ出しますかね?」

福太郎「んー……」
チラ

クロ「なんだよ」

福太郎「ええ、そりゃあ!蚤や鼠の害から守る大神様の有り難ーい神意の籠った絵ですから」

クロ「?!」

老店主「ほほう。おっと失礼しました今お茶をいれますね。」

福太郎「んっ、お構いなく」

クロ「うぉい!なんだよ今の嘘は!!」

福太郎「イワシの頭もなんとやら、クロは野良神なんやしそういう神様信仰集めたらええちゃう」

クロ「誰が野良神だ!!」

老店主「どうかしましたか?」

福太郎「いえいえ」

クロ「何でもない」

老店主「そうですか。はい、お茶を……」

福太郎「これは、どーも」

老店主「っぅ……」

クロ「おわっ?!」

ガッシャァァン!

福太郎「大丈夫ですか?ご店主」

老店主「は、はい。ときどき目が痛みまして」

福太郎「それはアカンですやん。」

クロ「病院にはいったのか?」

老店主「いえ、少しすれば治まるんで……」

テシロ『なぁああん』

老店主「テシロ?」

テシロ『なぁーご』

ざぁーりざぁーり
老店主「ははは、こらやめないか。なぁに心配はいらねぇよ」

福太郎「ホンマに大丈夫ですか?」

クロ「割れた茶碗はこっちに集めとくぞ」

老店主「えぇ、えぇ、すいません。本当にお手間ばかり掛けさせて」

福太郎「ええんですよ。ほんなら、失礼します」

クロ「……」




ー福太郎の部屋ー

福太郎「ただいま」

お仙『お帰リ』

ガジガジ
すっきー『ひぃぃぃ!』

福太郎「んっ、ただいま。いやー、昼間はやっぱりまだ暑いなぁ。ちょっと歩いたら汗かいてしもたわ」

お仙『そーカ』

ガジガジ
すっきー『なにナチュラルスルーしてるんっすか!この異常事態を!!』

福太郎「ん?」

クロ「なにしてんだお前ら……」

お仙『メリーが幽霊は吸血できるのかって聞いてきたからためしてル』

メリー「ほんの出来心だったんだけど」

福太郎「ふむ……そんで吸えたん?」

お仙『無理だっタ。噛めはしたんだけどナ』

すっきー『噛むことからやめてくださいっす!』

福太郎「ふむ……掴みも噛めもする霊体やけど血は吸えんと……ほんなら血以外のもんやったら吸えるんかな」

お仙『母乳とカ?』

すっきー『出ないっすよ///!!』

クロ「……」

メリー「どうかしたの?」

クロ「いや、別に……なんにもなければいいんだけどな」

お仙『吸ってみなきゃわからなイ!』

すっきー『でーまーせーんっす!!』

メリー「既になにかある感じだけど?」

クロ「アレじゃねぇよ!」
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