第禄夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ところで、キョンシーの力強さを見てみたいんだけど」

ラム「危ないことは許可できないわよ」

福太郎「んっ、わかっとりますて。安全かつ楽しく。昔からある腕相撲って遊戯をクロと対戦してもら……」

クロ「嫌だ!」

福太郎「早いなぁ。食い気味に拒否された」

クロ「おまっ、ふざけんなよ!キョンシーと腕相撲とか!」

ラム「許可は出来るけど私もオススメはしないわね。」

メリー「腕相撲なのに?」

ラム「暴れられるとかなわないからね。それは男女ともに凶暴性を持って気が遠くなるほどの馬鹿力、中には神通力のある者さえいる。それを上手く歯止めを利かすのが道士の力量の見せどころと役目。「天使、キョンシー、魔女、鬼神」私たち業界の諺で「逆らわない方がいいも」の意よ」

福太郎「へー……じゃあ、大神たるクロさんは問題なしやないですか」

クロ「こういう時だけちゃんと大神っていうんじゃねぇ!」

女キョンシー『よっしゃー、かかってこイ』

すっきー『やる気満々っすよ』

クロ「やらねぇから!」

福太郎「まぁ、冗談はさておいて……この娘預かるとしたら名前はこっちで決めてええの?」

クロ「おい!」

ラム「いいわよ」

メリー「ご主人様いいの?」

福太郎「ええんやない?」

クロ「質問に疑問系で返すなよ」

福太郎「害はなさそうやし。妖怪自立支援の一環として……クロが面倒見るってことで」

クロ「なんで私?!」

福太郎「ほら、なんやかんやで歪業の仕事は結局は俺が中心でやってたやん」

クロ「お前が請け負った仕事だからな」

福太郎「ということで、この娘の世話はクロが頑張ってみよう」

クロ「何がという事でなのか全然わからない!」

ラム「まぁ、私は引き取ってもらえるなら何でもいいんだけど」

クロ「お前ももうちょっと注意するとかしろよ!」

ラム「大丈夫よ。多分」

クロ「大丈夫じゃないからコイツが出てきちゃってるんだろ!」

女キョンシー『ぐぅぐぅ…』

メリー「目、開けたまま寝てる」

すっきー『怖っ……』

ラム「瞳が乾いてしぼむから寝るときは目を閉じなさいって言ってるのに」

福太郎「こういう場合は?」

ラム「自動防御とかはしないから瞼を引っ張り降ろしたげて」

福太郎「クロ」

クロ「……」

スッ…グッ!

女キョンシー『ぐぅーぐぅー…』

メリー「まったく反応しないね」

ラム「神経は半分死んでるからね。感度が薄いのよ」

福太郎「なるほど」

クロ「なるほどでもねぇよ……」

福太郎「名前何にする?マッスルボディダッシュプラス2?」

クロ「それは名前じゃないだろ」

メリー「ザオリク」

クロ「なんで死人に復活呪文を名前にする」

すっきー『キョン子とかどうっすか』

クロ「無いわぁ」

ラム「ライフ・スティール」

クロ「吸うな吸うな、命を吸わすな」

福太郎「チンチン」

ラム「久々に切れちまったよ、屋上に行こうぜ……?」

福太郎「ちょっとした冗談ですやん」

クロ「誰か一人ぐらいまともにつけられないのか……」

福太郎「マッスル…」

クロ「それはもういい!」
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