第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋西口公園ー

後楽「っうか、福さんとかいったか。アンタ「化け狸」なんて普通に受け入れたが……払い師の類かい?」

福太郎「いや、普通のモブです」

悠「もっと自信持って!!福ちゃんは個性あるよ!!」

後楽「見たところ絵描きか……。ってことは、たんまり金持ってんだろうな。貸してくれ」

福太郎「どないしょ、会って五分もたたんうちに金銭の要求された」

悠「やめんかいクソ狸。背中焼いてカラシ塗り込むぞ」

後楽「おじさん、童話をネタに脅すのは良くないと思うぜ。」

悠「リアルで保健所に叩きこんでやろうかと考えることもある。」

後楽「それよか、ケサランパサランなら、おじさんもってんぜ。あげるからお小遣い貸してくれ」

福太郎「本物なん?」

後楽「間違いねぇよ。二か月前ある老人から譲り受けた……食べ残しのパンから生まれたんだぜ」

悠「白カビだろそれ」

福太郎「時間の無駄やったわ」

後楽「はは、そういわずに金貸してくれよ。博打で勝って倍にして返すからよぉ」

悠「この前貸した分の利息は倍になってんぞコラ」

福太郎「アカンなぁ。この人に金貸すんはアカンわぁ」

後楽「このとおりっ!」
土下座っ!!

悠「そのまま潰れろ」

ぐしゃ!

福太郎「あ、踏んだ…」

後楽「ンだよ兄ちゃんのケチんぼ。ふんだ。」

悠「すねても可愛くねぇから」

後楽「いいもん、おいちゃんここで飲みするもん」

福太郎「アルカホリック破壊僧やな…」

後楽「福さんも飲むか?酒はいいぞ」

福太郎「いやぁ、真昼間からはちょっと…」

悠「っか、お前はなんで平然と酒呑んでる」

後楽「そうさなぁ……酔って忘れちまいてぇのさ…やりきれねぇこと皆、酒で流し込んで忘れちまうのさ……。」

悠「おっさん……」

後楽「そして、今日飲む酒で借金をしたことを忘れる。」

悠「いや、働いて返せよ!!!」

福太郎「自由やなぁ」

後楽「てゆーか、福さんよ。描くんだったらあそこでたむろってる女学生を適当に脱がした姿の絵描いてくれねぇか」

福太郎「あれ、似たような事をいわれたことある記憶が……」

悠「ち、ちゃうもん!おれは二次テイストの微エロ絵希望しただけだもん!」

後楽「兄ちゃん、五十歩百歩ってしってっか?」

悠「俺、お前にだけはそういうことをいわれたくなかったよ……。やや本気と書いてマジで」

福太郎「一人称が漢字表記になるほどの本気……」

後楽「げひひ、そんでもおじさんと悠は仲が良いからな。嗜好も似ちまうんだよ」

悠「……おれと後楽は仲が良かったのか?」

後楽「おい、素でそういうこと聞くなよ。結構傷つくだろ」
41/100ページ
スキ