第禄夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「どうぞ。お茶です」

ラム「どうも」

福太郎「根本的な事を聞いてええですか?」

ラム「えぇ」

福太郎「そもそも何でキョンシーがあまっとるんです?ラムさん言うてましたやん。キョンシーは最終的に受け取る人が居って埋葬するって」

ラム「そうよ。ただ、私が預かっているキョンシーは身元引き取り人が居ないのよ」

福太郎「んん?」

メリー「野生のキョンシーってこと?」

クロ「ポケモンじゃねーんだからな」

ラム「でも、貴方たちは野生の妖魔でしょ?」

クロ「誰が妖魔だ!神だぞ私は」

ラム「ズズッ」

クロ「聞けよ!」

メリー「元であって今はちゃんとご主人様が居るもん!」

クロ「いや、お前は妖魔だけど私は神だからな!」

福太郎「まぁ、細かいことは置いといて……」

クロ「うぉい!」

福太郎「その野生のキョンシーはなんで出てきたんです?」

ラム「野生でないんだけど……ハッキリ言えばミスよ」

福太郎「魔法の合金?」

ラム「それはミスリル。次真顔でつまらない冗談言ったら殴るわよ」

福太郎「つや出しってほうが良かったんかな?」

クロ「何だソレ?」

すっきー『ニスじゃないっすか』

福太郎「イエス」

ラム「んんっ!」

福太郎「んっ、すんません。続けてください」

ラム「本当は別の死体がキョンシーになる予定だったのを、どこぞのド阿呆が間違えて別の死体をキョンシーにしちゃったのよ」

クロ「……」

メリー「……」

すっきー『……』

福太郎「……それって問題やないんですか?」

ラム「超ド級の大問題よ。もともと召鬼法と反魂の術は禁忌ギリギリなんだから。」

メリー「しょうき?」

ラム「召鬼法は鬼や亡者を使役する呪術。この呪法に使うのが符。いわゆるお札ね。そして反魂は死者の魂だけを呼び出すイタコの交霊術みたいなもの。そのふたつを掛け合わせてキョンシーになるんだけど……さっきいったどこぞの大バカ野郎が別のキョンシーを召鬼した…。」

福太郎「なるほど、盛大なおっちょこちよいですね」

ラム「それで済んだらよかったんだけどね!」

福太郎「まぁまぁ落ち着いて……せやけど適当に埋葬したらあきませんの?」

ラム「さすがにこっちの勝手で出したうえ、こっちの勝手で埋葬するのはねぇ……それになによりキョンシーとしての出来は良すぎるのよ」

福太郎「良すぎる?」

ラム「完成度が高いって言ったらいいのかしらね……。失敗したバカ野郎はその召鬼法と反魂の術だけは凄かったのよ。」

福太郎「ほう……。優秀なドジっ子さんやと」

ラム「その言い方やめろ」

福太郎「んっ」

クロ「完成度が高いってどんな感じなんだよ」

ラム「ほぼ不死、キョンシーなのに柔軟性は生きた人間並、そこそこ会話能力もある。破壊力異常」

クロ「……危なくね?」

ラム「危ないのよ」
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