第禄夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

こんこん、こんこん

福太郎「はいはい?」

メフィスト「ハーイ」

福太郎「へーベルハウス」

メフィスト「はい?」

福太郎「んっ、いや、何でもないです。どないしたんです?」

メフィスト「フクタローさんにひとつお願いがあまマして、お伺いしたのデス」

福太郎「はぁ……」

メフィスト「快諾していただいてよかったデス」

福太郎「あれ、快諾承知みたいな流れになっとるコレ?」

クロ「おい、断っとけ。絶対に良くない流れだぞコレ」

メリー「私も危ない気がする」

すっきー『内容を言わずに快諾させて来るって言うところに悪意を感じるっすね』

メフィスト「ンフフフ。」

福太郎「そしてバッシングにもへこたれない芯の強さ」

メフィスト「HAHAHA、女性からのバッシングでなかったら……デス」

福太郎「その間とデスは死ってい意味のデス?」

メフィスト「HAHAHA~」

福太郎「笑ったまま何も言わんのって怖いよな」

クロ「ホントにな……」

メフィスト「それじゃこれをお願いしマス」

パサッ

福太郎「紙?」

メフィスト「イエス、PAPERです」

福太郎「急に流暢な英語」

クロ「胡散臭さマシマシだな」

福太郎「ほんでこのPAPERは?」

クロ「お前も乗らなくていいから」

メフィスト「フクタローさんは江戸時代の「猫絵」というものを知っていマースか?」

福太郎「江戸時代では、本物のネコが貴重で少なかったんで、ネズミを駆除するための呪具として猫絵を描いて養蚕農家に売り歩いとったっていうアレですか?」

メフィスト「おぉ、薄学デスネ」

福太郎「いや、それほどでは」

メフィスト「ということデ、お願いシマス」

福太郎「何がという事で何か会話のキャッチボールが不成立なんですけど」

メフィスト「要約すると私の倉庫に鼠が出るので、鼠避けに猫絵をひとつ描いて欲しいということデス」

福太郎「ふむ……」

クロ「何処をどう要約したんだよ。むしろ今漸く説明したの間違いだろ」

メフィスト「HAHAHA~クロさんは冗談がお得意デスネ。」

クロ「色々とムカつく…」

福太郎「話しは分かりましたけど……俺が絵描いて効果あるんですか?」

メフィスト「鰯の頭も信心からというじゃないデスか」

福太郎「完全に乗りだけですやん。」

メフィスト「冗談はさておきまして……描く際にはこちらの筆をつかってください」
スッ

福太郎「ふむ……古風な感じの筆やね。」

メフィスト「良いデしょう。かの昔、邪神が愛用したという呪いの筆デス」

福太郎「ボッシュート」

ポイ!

メフィスト「何を?!」

福太郎「いや、触れたら呪われそうやったもんで」

クロ「明らかに呪いの一品だろうけど普通に投げ捨てるなよ…」
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