第禄夜『福太郎の不思議な日常』
ー池袋:大学病院ー
イト「今日は……怪我して……ないのね。もう来てくれないと思ったわヒュー」
喋る端々に呼吸の荒い音がする。
夜彦「……」
イト「時間がないわ。夜彦聞いて。」
最後の力を振り絞るように夜彦の手を握る。
夜彦「……」
夜彦も話しを聞き逃さないように身をかがめる。
イト「いつだかあなたのことあべこべって言ったの覚えてる?ヒュー。喧嘩強くて無敵なフリしているけどヒュー本当は違うのよねヒュー……ずーっと話しを聞いてて思ったのあなたは怪我や暴力がないと繋がりを作れないのね。そんなの自分とも他人とも弱虫だわ。弱虫で優しいのよね」
夜彦「……」
イトはそっと夜彦の頭を撫でる。
イト「さぁ行きなさい。人間はいつか死ぬのよ。私の前ではいつもどおりの夜彦でいてちょうだい」
夜彦「……」
イト「ほらほら、何て顔してるの。そういえば、あなた雷獣……?だったわよね。だったら……大きな雷…………鳴らしてほしいわお祭りみたいで好きなのよ」
夜彦「……わかった。」
そういって……握っていた手を離し、夜彦は雷電を走らせて病室から消え去った。
ー池袋界隈ー
福太郎「んっ……なんやあの黒い雲雨かいな?
」
夜彦「おいっ!!」
福太郎「ん?おー、突然飛び出していくけんビックリしたで」
夜彦「おい!ここいらで一番高い場所はどこだ!?」
福太郎「ちょ、お、落ち着いて。どないしてんそんな慌てて。病院にいったんとちゃ……」
夜彦「もうすぐババァが消えちまう!だから雷を雷を呼ぶんだ……!」
福太郎「……あそこ!あれ見える?廃工場なんやけど高ぁてひとが居らん場所はあそこくらいや!」
夜彦は雷獣の姿に戻ると福太郎を背に乗せて空へと舞った。
夜彦『落ちないようにしとけ!』
その速さは文字通り雷。ピシャリッと音が鳴って光が散るほぼ一瞬で廃工場の屋上に辿りついていて、福太郎は床へと転げ落ちた。
福太郎「わっ……」
夜彦は人間の姿になっていて病院の方へ向く。頭上にはまっ黒な雲が広がって雨が降り雷がゴロゴロと唸っている。
夜彦「本当にこれで良かったのか!!正直わからねぇ!!俺弱虫なんだとよ!!何かに傷つくのが怖くて暴力で自分を守ってる弱虫なんだと!!」
~~
イト「……カーテン開けてもらえるかしら」
看護師「でも外雷ですよ?」
イト「いいの…………息子……からの贈りものなのよ」
~~
夜彦「その通りなんだ!今だってババァの側にいるのが怖くて逃げてきた弱虫だ。ババァはもう消えるのにさっきだって俺はひとことも……」
福太郎「そこまでわかっとるんなら隠す必要ないと思うで、そんなに辛そうにするくらいやったら隠さんでええと思う。俺は聞かんから」
~~
光って、鳴り響いて、雷は止まらない。
イト「雷すごいわねぇ。こんなに大きい音なら私も泣いても…聞こえないわよね……」
トクン…トクン…
~~
トクン…
夜彦「クソッ人間は弱過ぎる!なんだよ歳には勝てないって……やっと色々分かったのにくそ……いやだ!」
トク……ト……ト……
どれだけ大きな音で雷が落ちても、夜彦の耳には心音が届いていた。最後の最後、音が聞こえなるその瞬間まで……。
ー百鬼襖の部屋ー
小さくなって震えてる夜彦君の姿は友達との別れを悲しむ。ただの子供のようで、雷は泣きじゃくるように轟き、そして誰かを見送る盛大なお祭りのようも見えた。
そして……
福太郎「向こうにかえるん?」
夜彦「まあな、ここで逃げたらババァが浮かばれねぇしな。でもおちつかねぇーな。ついこの間との考え方変わるとカユくて仕方ねーよ。」
福太郎「ええことやろ。したいこともできたんやろ?」
夜彦「一回戻って今まで散々好き勝手やってきた分兄貴たちに謝って……ぐ、ぐうぅ…」
福太郎「(苦虫噛みつぶしたような顔しとる)」
夜彦「で、またこっちに戻って直に謝りてぇ。悪いヤツじゃねぇんだ」
福太郎「せやね。あの人は見た目はアレやけど、ええ人な感じよう分かるわ」
夜彦「あ、あと迷惑掛けといてアレだけどよ。次に会うときはダチになってくれねえか?暴力以外で繋がりを作ってみてぇんだ」
福太郎「俺はもう友達のつもりやったよ」
夜彦「えっ、おっ、まじか……なんかむずむずすんな」
福太郎「そう?成長痛やないの?」
これが夜彦君の素なんやろう。そうきっと心は強く強く成長しとるんやろ。
君がずっとありのままでわらえますように…。
イト「今日は……怪我して……ないのね。もう来てくれないと思ったわヒュー」
喋る端々に呼吸の荒い音がする。
夜彦「……」
イト「時間がないわ。夜彦聞いて。」
最後の力を振り絞るように夜彦の手を握る。
夜彦「……」
夜彦も話しを聞き逃さないように身をかがめる。
イト「いつだかあなたのことあべこべって言ったの覚えてる?ヒュー。喧嘩強くて無敵なフリしているけどヒュー本当は違うのよねヒュー……ずーっと話しを聞いてて思ったのあなたは怪我や暴力がないと繋がりを作れないのね。そんなの自分とも他人とも弱虫だわ。弱虫で優しいのよね」
夜彦「……」
イトはそっと夜彦の頭を撫でる。
イト「さぁ行きなさい。人間はいつか死ぬのよ。私の前ではいつもどおりの夜彦でいてちょうだい」
夜彦「……」
イト「ほらほら、何て顔してるの。そういえば、あなた雷獣……?だったわよね。だったら……大きな雷…………鳴らしてほしいわお祭りみたいで好きなのよ」
夜彦「……わかった。」
そういって……握っていた手を離し、夜彦は雷電を走らせて病室から消え去った。
ー池袋界隈ー
福太郎「んっ……なんやあの黒い雲雨かいな?
」
夜彦「おいっ!!」
福太郎「ん?おー、突然飛び出していくけんビックリしたで」
夜彦「おい!ここいらで一番高い場所はどこだ!?」
福太郎「ちょ、お、落ち着いて。どないしてんそんな慌てて。病院にいったんとちゃ……」
夜彦「もうすぐババァが消えちまう!だから雷を雷を呼ぶんだ……!」
福太郎「……あそこ!あれ見える?廃工場なんやけど高ぁてひとが居らん場所はあそこくらいや!」
夜彦は雷獣の姿に戻ると福太郎を背に乗せて空へと舞った。
夜彦『落ちないようにしとけ!』
その速さは文字通り雷。ピシャリッと音が鳴って光が散るほぼ一瞬で廃工場の屋上に辿りついていて、福太郎は床へと転げ落ちた。
福太郎「わっ……」
夜彦は人間の姿になっていて病院の方へ向く。頭上にはまっ黒な雲が広がって雨が降り雷がゴロゴロと唸っている。
夜彦「本当にこれで良かったのか!!正直わからねぇ!!俺弱虫なんだとよ!!何かに傷つくのが怖くて暴力で自分を守ってる弱虫なんだと!!」
~~
イト「……カーテン開けてもらえるかしら」
看護師「でも外雷ですよ?」
イト「いいの…………息子……からの贈りものなのよ」
~~
夜彦「その通りなんだ!今だってババァの側にいるのが怖くて逃げてきた弱虫だ。ババァはもう消えるのにさっきだって俺はひとことも……」
福太郎「そこまでわかっとるんなら隠す必要ないと思うで、そんなに辛そうにするくらいやったら隠さんでええと思う。俺は聞かんから」
~~
光って、鳴り響いて、雷は止まらない。
イト「雷すごいわねぇ。こんなに大きい音なら私も泣いても…聞こえないわよね……」
トクン…トクン…
~~
トクン…
夜彦「クソッ人間は弱過ぎる!なんだよ歳には勝てないって……やっと色々分かったのにくそ……いやだ!」
トク……ト……ト……
どれだけ大きな音で雷が落ちても、夜彦の耳には心音が届いていた。最後の最後、音が聞こえなるその瞬間まで……。
ー百鬼襖の部屋ー
小さくなって震えてる夜彦君の姿は友達との別れを悲しむ。ただの子供のようで、雷は泣きじゃくるように轟き、そして誰かを見送る盛大なお祭りのようも見えた。
そして……
福太郎「向こうにかえるん?」
夜彦「まあな、ここで逃げたらババァが浮かばれねぇしな。でもおちつかねぇーな。ついこの間との考え方変わるとカユくて仕方ねーよ。」
福太郎「ええことやろ。したいこともできたんやろ?」
夜彦「一回戻って今まで散々好き勝手やってきた分兄貴たちに謝って……ぐ、ぐうぅ…」
福太郎「(苦虫噛みつぶしたような顔しとる)」
夜彦「で、またこっちに戻って直に謝りてぇ。悪いヤツじゃねぇんだ」
福太郎「せやね。あの人は見た目はアレやけど、ええ人な感じよう分かるわ」
夜彦「あ、あと迷惑掛けといてアレだけどよ。次に会うときはダチになってくれねえか?暴力以外で繋がりを作ってみてぇんだ」
福太郎「俺はもう友達のつもりやったよ」
夜彦「えっ、おっ、まじか……なんかむずむずすんな」
福太郎「そう?成長痛やないの?」
これが夜彦君の素なんやろう。そうきっと心は強く強く成長しとるんやろ。
君がずっとありのままでわらえますように…。