第禄夜『福太郎の不思議な日常』
ー池袋:大学病院ー
夜彦「あいつから思わず逃げてきたはいいが……」
車いすの女性「もうすぐ退院なのよ」
白い服の女性「そうなんですか、よかったですね」
夜彦「……どこだここ?部屋がたくさんあるが……宿屋か?」
夜彦は手近なドアを開けて見た。ベッドのうえで身体を起こしている老女がいた。
お婆さん「あら、若いお客さんね。」
夜彦「ジロジロ見てんじゃねーよ。ババァ」
お婆さん「あははっ、アナタが入ってきたから見てるのに?」
夜彦「……」
お婆さん「あっ!」
夜彦「ビクッ?!」
お婆さん「手、怪我してる。薬塗ってあげるからこっちおいで。」
夜彦「はぁ!?余計な御世話だ!!」
お婆さん「ははーん、薬塗って染みるのが怖いんだ。子供だなー」
夜彦「なっ……!速く塗れよババァ!」
お婆さん「最初からそうすりゃいいのよ」
夜彦「ぶっ飛ばすぞクソババァ」
お婆さん「あら生意気ね」
ー福太郎の部屋ー
福太郎「んー、ただいまー、弱ったなぁ見つからんかっ……って」
夜彦「ん?」
福太郎「居るし。はぁー、よかった。ずっと探したんよ?怪我はしとらん?ケンカは?」
夜彦「してねーよ。それよりメシ」
クロ「おい、お前その態度……」
福太郎「まぁまぁ……あれ、手当てしとる。その指」
絆創膏が張られて治療されている手に触れようとしたが……。
夜彦「触んな!」
福太郎「?」
夜彦はじっとその絆創膏を見つめるだけでどうしたのかは語らなかった。
ー池袋:大学病院ー
お婆さん「あら、いらっしゃい。昨日ぶりね」
夜彦「んっ」
ベッドのそばの椅子に座って夜彦は拳をお婆さんに突き付けた。
お婆さん「あら、また怪我したの?」
夜彦「うるせぇババァ速くしろ」
お婆さん「まっ、失礼なガキね!!」
夜彦「むっ、俺の方がババァより年上だぜ?雷獣だからな」
お婆さん「雷獣って妖怪の?」
夜彦「ああ、そうだ」
お婆さん「そうなんだ。私、雷好きよ。そっかーあなたの方が年上かー。でも頭の方は私の方が年上ね」
夜彦「なっ」
ー福太郎の部屋ー
アレから数日夜彦君がよく出歩く。
福太郎「夜彦君。聞きたいんやけど君はいつもどこいっとるん?」
夜彦「お前には関係」
福太郎「ある。もしもケンカやったら俺が止めるし……一応」
夜彦「……ババァ」
福太郎「ばば?」
夜彦「別に隠すことじゃねぇし。白くてでかい家に居るへんなババァに会ってやってんだよ。暇つぶしにはいいだろ」
福太郎「……」
夜彦「お前が気にしてる手の怪我はわざと壁を殴ってつくったやつだ。ケンカはしてない。」
福太郎「なんで?(楽しそうに話すなぁ)」
夜彦「指手当てしてもらいにいってんだ。人を殴ればお前がうるさいし手ぶらで行くのもカッコ悪いし。口悪いババァでさ、他にやることねぇんじゃねぇの?」
まるで初めて友達ができた子供みたいで楽しそうだ。
福太郎「そかそか。ほんならいっといで夕飯までには帰ることとケンカはせーへんようにな」
夜彦君が変わってくれるきっかけになればええな。
夜彦「あいつから思わず逃げてきたはいいが……」
車いすの女性「もうすぐ退院なのよ」
白い服の女性「そうなんですか、よかったですね」
夜彦「……どこだここ?部屋がたくさんあるが……宿屋か?」
夜彦は手近なドアを開けて見た。ベッドのうえで身体を起こしている老女がいた。
お婆さん「あら、若いお客さんね。」
夜彦「ジロジロ見てんじゃねーよ。ババァ」
お婆さん「あははっ、アナタが入ってきたから見てるのに?」
夜彦「……」
お婆さん「あっ!」
夜彦「ビクッ?!」
お婆さん「手、怪我してる。薬塗ってあげるからこっちおいで。」
夜彦「はぁ!?余計な御世話だ!!」
お婆さん「ははーん、薬塗って染みるのが怖いんだ。子供だなー」
夜彦「なっ……!速く塗れよババァ!」
お婆さん「最初からそうすりゃいいのよ」
夜彦「ぶっ飛ばすぞクソババァ」
お婆さん「あら生意気ね」
ー福太郎の部屋ー
福太郎「んー、ただいまー、弱ったなぁ見つからんかっ……って」
夜彦「ん?」
福太郎「居るし。はぁー、よかった。ずっと探したんよ?怪我はしとらん?ケンカは?」
夜彦「してねーよ。それよりメシ」
クロ「おい、お前その態度……」
福太郎「まぁまぁ……あれ、手当てしとる。その指」
絆創膏が張られて治療されている手に触れようとしたが……。
夜彦「触んな!」
福太郎「?」
夜彦はじっとその絆創膏を見つめるだけでどうしたのかは語らなかった。
ー池袋:大学病院ー
お婆さん「あら、いらっしゃい。昨日ぶりね」
夜彦「んっ」
ベッドのそばの椅子に座って夜彦は拳をお婆さんに突き付けた。
お婆さん「あら、また怪我したの?」
夜彦「うるせぇババァ速くしろ」
お婆さん「まっ、失礼なガキね!!」
夜彦「むっ、俺の方がババァより年上だぜ?雷獣だからな」
お婆さん「雷獣って妖怪の?」
夜彦「ああ、そうだ」
お婆さん「そうなんだ。私、雷好きよ。そっかーあなたの方が年上かー。でも頭の方は私の方が年上ね」
夜彦「なっ」
ー福太郎の部屋ー
アレから数日夜彦君がよく出歩く。
福太郎「夜彦君。聞きたいんやけど君はいつもどこいっとるん?」
夜彦「お前には関係」
福太郎「ある。もしもケンカやったら俺が止めるし……一応」
夜彦「……ババァ」
福太郎「ばば?」
夜彦「別に隠すことじゃねぇし。白くてでかい家に居るへんなババァに会ってやってんだよ。暇つぶしにはいいだろ」
福太郎「……」
夜彦「お前が気にしてる手の怪我はわざと壁を殴ってつくったやつだ。ケンカはしてない。」
福太郎「なんで?(楽しそうに話すなぁ)」
夜彦「指手当てしてもらいにいってんだ。人を殴ればお前がうるさいし手ぶらで行くのもカッコ悪いし。口悪いババァでさ、他にやることねぇんじゃねぇの?」
まるで初めて友達ができた子供みたいで楽しそうだ。
福太郎「そかそか。ほんならいっといで夕飯までには帰ることとケンカはせーへんようにな」
夜彦君が変わってくれるきっかけになればええな。