第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー定食屋ー

メリー「ん~~!」

福太郎「おっと……わせとった。」

義鷹「なんだソレ?」

福太郎「人形のメリーちゃん」

メリー「もう!ポケットにねじ込まないでよ!目が回っちゃったじゃない!」

福太郎「そっちこそ、勝手にポケットに忍び込んだらアカンやろ」

ルーミア「ビールおかわれなのかー」

「あいよー……」

義鷹「おい、チビ。呂律おかしくなってるぞ」

ルーミア「らってないのかー」

義鷹「……」

福太郎「あぁ……酔うとるな。コレ……。」

ルーミア「酔っれるのかー」

福太郎「えーと、義鷹さんは」

義鷹「義鷹でいい」

福太郎「義鷹はなにしてはる人なん?」

義鷹「裏稼業」

福太郎「……」

メリー「すっきーみたいにタンスの裏とかに隠れてるの?」

福太郎「いや、ちゃうやろ」

ルーミア「ゴキブリみらいなのらー」

義鷹「色的にはお前のがゴキブリだろ」

ルーミア「ゴキブリはリグルなのらー」

福太郎「うーん、たぶんやけど……ゴキブリとちゃうんちゃうかな……ま、それはおいといて、裏稼業っていうんは……ヤクザ屋さんとか?」

義鷹「違う。鎮伏業だ」

福太郎「鎮伏?」

義鷹「目に余る怪異を討滅。分かりやすく簡単にいえば……妖怪や怪物何かを殺して金をもらう」

メリー「ひぃっ!!」

福太郎「そんな仕事あるん?」

義鷹「だから裏稼業だ。殆ど知る奴なんかいねぇよ。」

メリー「ご主人様、コイツ危ないわ!」

福太郎「せやろか……」

義鷹「なんだ、危なくないといい切れるのか?」

福太郎「断言はでけへんけど……ホンマに危ない奴やったらこうして一緒に飲んで話したりしてないと思うんよ。」

義鷹「そんなアバウトな考えか」

福太郎「ほな、直感で。義鷹は悪い奴やないと思ったってことにしといて」

義鷹「ぎゃはは、おかしな奴だ。面白い」

メリー「うぅ~」

義鷹「俺の鎮伏業は本業じゃなく伏業だ。別にお前を取って喰うつもりもねぇよ」

福太郎「ほな、本業は?」

義鷹「私立探偵」

福太郎「マジで?!」

義鷹「ま、こっちも力入れてやってるってわけでもないけどな」

福太郎「ふーん……っで、義鷹はなんなん?」

義鷹「さぁ……なんだろうなぁ。お前から見たら何に見える?」

福太郎「え、んーー……人間に見えるけど」

義鷹「ぎゃはは」

福太郎「えぇ……笑われてしもた。」
36/100ページ
スキ