第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「七夕なんで笹を持って帰ってみました」

クロ「笹っていうか……枝だな」

福太郎「え……まさか竹を一本まるまる切ってこいとでもいうん?」

クロ「そこまでもいってねぇけど」

メリー「私にはぴったりよ」

すっきー『メリーちゃんは基本的に省エネっすからね。』

福太郎「でも、笹に短冊飾るより……キョンシーに短冊貼った方が効果は有りそうやな」

クロ「なんの儀式だよ。もしくは呪いじゃねーかソレ」

すっきー『短冊とお札が混同されてるっす』

福太郎「すっきー短冊っぽいお札とか貼ってみる?」

すっきー『いやっすよ!!』

こんこん

福太郎「んっ、はい?」

りんね「こんにちは」

福太郎「んっ、りんねセンセ。どうも」

りんね「今、福太郎君が笹を持ってのを見ちゃったんだけど……七夕?」

福太郎「えぇ、まぁ雰囲気程度のもんですけど」

りんね「もしよかったら先生もご一緒させてくれないかしら」

福太郎「ええですよ。っていうても、特にこれといって料理やなんやは準備してないんですけど」

りんね「そんなのいいのよ。ただ、こういう行事のある日をひとりで過ごしたくないだけだから」

クロ「微妙に重いな」

りんね「べ、別にいっしょに過ごしてくれる人がいないとか、友達がいないわけじゃないのよ?」

クロ「弁解しなくてもいいよ。何もいってないし」

りんね「そ、そうよね。そうだ!せっかくだし、お邪魔させてもらうお礼に先生が秘蔵のワインをふるまっちゃいます」

福太郎「秘蔵のワイン?」

クロ「……アンタの血とか言わないよな」

りんね「そんなわけないでしょ。これよ、これ」

福太郎「うぉ……蝋封してある。ヴィンテージワインやないですかこれ。」

メリー「ビンになんか書いてあるね。」

福太郎「ジョアンペレイラ-ドゥ-オリヴェイラ・ブアル1922……」

クロ「約百年も前のワインか……。」

福太郎「俺はワインには詳しいないけど……多分これ一本で6~8万くらいするんちゃいますの?」

りんね「どうかしら、私が作っ……いえ、貰ったものだから」

福太郎「……今、作ったいいかけたで?」

クロ「百年前には生存してたってことだな」

すっきー『生存……生存なんすかね?』

福太郎「既にアンデットやったんか……それとも……」

りんね「はーい、そこ。何をコソコソお話ししてるのかしら?」

福太郎「んー、はは、ところでホンマにこれを頂いてええんですの?」

りんね「いいわよ。まだ探せば出てくるだろうし」

福太郎「わぉ……」

クロ「そのうち金貨とが装飾品まで出てきそうだな」

福太郎「埋葬されたミイラやないんやから」

すっきー『でも、なきしにも有らずっすよね』

福太郎「確かな……」
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