第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー池袋:西口公園ー

福太郎「……」

クロ「怪しい……よな?」

鈴仙「はは……目立ちはしてますけどね。」

クロ「あれは悪目立ちだろ」

鈴仙「けど、誰もきませんね。かれこれ十分くらいは経ってますけど」

クロ「だよな……ん?」

福太郎「……」

スーツの男「……鍵は?」

福太郎「んっ、これを」

スーツの男「ありがとうございます。」

福太郎「いえ」

クロ「……済んだのか?」

福太郎「そう……みたいやな。電話し……」

ぷるるっ!

鈴仙「わっ……狙いすましたように……」

福太郎「もしもし」

女の声『お疲れ様です。それでは最後のお仕事に向かってもらいます』

福太郎「見はっとるん?」

女の声『いいえ、今受け取ったと連絡が入ったのですよ。さぁ、最後の仕事の内容は秋葉駅ビルに向かってください。それでは、そのときに連絡をお願いします』

ぷっ……

福太郎「……」

クロ「今度は?」

福太郎「秋葉原の駅ビル」

クロ「キレていいのかな」

福太郎「ええやないのちょっとした散歩と思えば」

鈴仙「ポジティブですね。」

福太郎「せやろー」

クロ「基本的にはネガティブなんだけどなコイツ……。」




ー秋葉原:駅ビルー

福太郎「……」

女の声『はい、お疲れ様です。』

福太郎「着きましたけど?」

女の子『では、今から地図をメールで送りますので、それを見て目的地に向かってください。』

プッ……ピロリン!

福太郎「……」

クロ「今度は……?」

福太郎「地図が送られて来た。なんかそこ向かっていってくれって。わりと近くやな……。ちょいと奥に入るけど」

クロ「もういいや……さっさと行こう」

鈴仙「ですねー……」

福太郎「コレいったらちょっと休憩しよな」

クロ「第賛成」

鈴仙「はい」



ー池袋:貸倉庫ー

福太郎「貸倉庫やな」

クロ「でも、鍵なんかもってないよな……」

福太郎「電話やな」

ぷるる…

女の声『着きましたか?』

福太郎「貸倉庫のまえにおるよ」

女の声『では、お-8番倉庫を探してください』

福太郎「お-8……お8、おはち……あった」

女の声『側にコンクリートブロックが置いてありますね。それを持ち上げてください』

福太郎「んっしょ……お、鍵」

女の声『それを使って倉庫の中にある「好きな物」を持ってファミレスまで帰って来てください。以上で終了です。お疲れ様でした。』

プッ……

福太郎「……好きな物?」
88/100ページ
スキ