第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋:近辺ー

義鷹「……」

福太郎「えーと……(バッチリ見られとるよなぁ。ここはひとつ上手いこと誤魔化さんと)」

ルーミア「?」

福太郎「んー……あ、しもた。超能力をつい使うてしもた」

義鷹「…………」

福太郎「よっし、自然や!」

メリー「不自然過ぎよ!!」

福太郎「わっ!ビックリした……メリーちゃん、こっそり着いてきたらアカンやろ。」

ルーミア「フクタロー」

福太郎「ん?ハッ……!」

義鷹「……おい、お前」

福太郎「はは、さいならー!」

ルーミアを抱えて、メリーちゃんを掴んでがむしゃらに走りだした。それはもう脱兎のごとく……!

義鷹「……」





ー池袋界隈ー

福太郎「ぜぇぜぇ……アカンて……俺は体力……無いキャラやのに……全力ダッシュ……とかは、アカンて……」

ルーミア「あははは。面白かったのかー」

メリー「ぶんぶん振り回されて気持ち悪いのっ……うぷっ。」

福太郎「ぜぇぜぇ……。」

義鷹「水、呑むか?」

福太郎「おおきに……ごくっごくっ、ぷはっ……ん?」

義鷹「ニタァ~」

福太郎「ブッ!!」

義鷹「いきなり逃げることはねぇのによぉ」

福太郎「え、あー、いや、はは……いつのまに…」

ルーミア「そいつ飛んで来たのかー」

福太郎「飛んでて……」

義鷹「お前この辺りのモンじゃないな。そっちの兄さんは……人間みたいだが」

福太郎「それて……もしかして霊能者?」

義鷹「ギャハ、れーのうしゃか。残念違う」

ルーミア「妖怪なのかー」

義鷹「正解だ」

福太郎「よ、妖怪?ぜんぜんそうは見えへんけど」

義鷹「……」

ミヂ、ミヂヂヂヂ!グバァッ!!
男は腕を突きだすと、その手が真一直に裂けてそこから鋭利な無数の牙が生えた。グロ&ホラー。

福太郎「……食われるん?」

義鷹「お前らが喰う必要ある奴らだったらな。」

福太郎「……」

義鷹「ま、お前はそうじゃないがな……っていうか、夢見長屋から出て来ただろ」

福太郎「あれ……なんで、それを?」

義鷹「匂いだよ。お前、あそこに越してきた人間か」

福太郎「え、んー、まぁ、そうです」

義鷹「ふーん……。」

福太郎「……な、なんでしゃろ」

義鷹「少しつき合え。そいつらも一緒でいいから」
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