第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近くー

福太郎「はあぁ……あっついなぁ」

クロ「はぐっ……ホントだよ。」

福太郎「……」

クロ「……なに?」

福太郎「いや、フライドチキン美味しい?」

クロ「美味い、はぐっ」

福太郎「食いしんぼうキャラみたいになっとるね」

クロ「私は燃費も食欲も普通だよ。はぐっ」

福太郎「まぁ、せやな。お肉大好きちゃんなだけで、引くほど食べたりはせんし、生肉も齧らんし」

クロ「私ゃ獣か!っていうか、お肉大好きちゃんもやめろ。はぐっ」

福太郎「口の端に肉片ついとるで」
ひょい

クロ「肉片て言うな……」

福太郎「……なぁ」

クロ「なに?」

福太郎「この取った肉片なんやけど、このままパクって口に運んだほうがええんか、ほった(捨てた)方がええんか……どっち?」

クロ「好きにしろよ…んっなこと」

福太郎「いや、ほったりしたらクロの乙女心に傷がつかんかなって」

クロ「やめろ、何か鳥肌が立った……。っていうか、だったら食えばいいだろ」

福太郎「んっ、そっちはそっちでコイツキモいとか思われんかなって」

クロ「神経質な思春期か!」

福太郎「まぁ、でも、やっぱりそういう事に嫌悪感抱くひとっておるやん」

クロ「そうかぁ?」

福太郎「俺、昔バイトの知り合いで誰かが口着けたもんは無理ひとがおってな。回し飲みとか、他人が作ったおにぎりとかも食べられんの」

クロ「神経質だなぁ……。」

福太郎「他人から見たらそうかも知れんけど、本人にとっては真剣ていうか死活問題な事ってあるんやって」

クロ「めんどくせっ」

福太郎「せやから、一応聞いてみた」

クロ「別にそーいうのいいから好きにしろよ」

福太郎「好きに…………悠に売る」

クロ「それだけはやめろっ!!」

青いドレスの少女『ふふっ』

福太郎「ん?」

クロ「今度はなんだよ……。」

福太郎「いや、そこに金髪で青いドレス着た女の子がおらんかった?」

クロ「は?……誰もいないだろ」

福太郎「んっ、気のせいか?」

メフィスト「おや、フクタロさんじゃないデースか!」

福太郎「んっ、メフィストさん。こんにちわ」

クロ「ども」

メフィスト「おこんにちはデース。いやぁ、暑くなってきましたネー」

福太郎「ホンマですねぇ。」

メフィスト「そうだ、フクタロさん。下の部屋がうるさかったりしマせんか?」

福太郎「下の部屋……あー、たまにですけど子供の元気な声は聞こえてますわ。せやけど、別段気になる無いですよ。」

メフィスト「そうデスか……。もし、なにか気になるようなことが有ればこの名刺の番号にすぐに連絡をくださいデス」

福太郎「んっ、わかりました」

メフィスト「それでは、ご機嫌よう」

福太郎「んっ、お疲れさんです」

クロ「ども……。」

福太郎「メフィストさんてTシャツとジーパンでもあの髑髏ステッキは装備しとるんやな」

クロ「逆に不気味だわ。アレ……。」
71/100ページ
スキ