第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ピピピピピ!

福太郎「んんっ、ふあぁぁ……ジッ」

クロ「朝か……ジッ」

黒髪の女性「ぐぅぅ……ぐぅぅ……」

ピピピピピ!

福太郎「ド頭もとでアラームなっとるのにまったく反応なし」

クロ「神経が図太いのか、逆に超無神経なのか……どうするんだこれ?」

福太郎「んー……寝とるんやしそのままでええやろ」

クロ「お前も大概図太いよな神経」

福太郎「小心者のビビりやで俺は」

すっきー『私、一度たりとも驚かれてないんスけど……』

メリー「逆に驚かされてるしね。」

福太郎「……にこっ」

すっきー『優しく微笑んで誤魔化さないでくださいっス!!』

福太郎「さて、朝飯なににしよか?パンでええ?」

クロ「飯がいい」

福太郎「炊かなないんやけど」

クロ「なら、炊けばいい」

福太郎「こういうときは気が長いんやから……」

すっきー『スルーっすか。ああ、スルーっすか!』

メリー「大丈夫、すっきーってひとを驚かすより、今の感じの方がすっごくぴったりだもん!」

すっきー『私のアイデンティティを全否定っすか……』

メリー「褒めてるのに」

クロ「今どき、うらめしやなんて流行らないんだしいいんじゃね?」

すっきー『そんなぁ……』

福太郎「路線を変えて会いに行ける幽霊って看板しょったらどう?」

すっきー『私はAKB48じゃないっす!』

福太郎「あははは」

クロ「っていうか、会いに行けるってここに来るのかよ」

福太郎「んー……それはこまるなぁ」

すっきー『ならないですからそんな心配も不要っす!』

福太郎「あ、冷凍のご飯があったわ」

クロ「それでいいよ」

すっきー『またスルーっすか!私の声はところどころ聞こえなくなるきらいでもあるんすか!』

メリー「朝から元気ねーすっきー。」

福太郎「幽霊やのにね。」

すっきー『おかげさまで規則正しい生活習慣になりましたよ……』

福太郎「俺は不規則やけどね。」

クロ「それでもオールとかしねぇじゃん」

福太郎「オールは……辛い。歳やなぁ」

すっきー『ご主人様、今から老け込んでたら大変だと思う』

福太郎「のんびりいきたい……」

クロ「コイツはコイツでどうにかしないといけない気がしてきた」

すっきー『それにしても……これだけ話してて動いてるのにまったく起きないっすね。このひと』

黒髪の女性「ぐぅぅ、ぐぅぅ…」

福太郎「眠り姫かな」

クロ「シンデレラか?」

福太郎「クロ……それを言うなら白雪姫や。シンデレラはガラスの靴」

クロ「……」

すっきー『素の間違いっすね。』

メリー「素の間違いね。」

クロ「う、うるせぇ!!」
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