第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「はぁ……」

クロ「おつかれ」

福太郎「アカンわ。何を言うても元気になってくれん。ずっと調子良かったのに」

クロ「調子が良かった分、落ち目なんじゃね?」

福太郎「クロ…」

クロ「そんな目で見るなよ」

福太郎「なんかアドバイスちょうだいよ」

クロ「私に何をいえっていうんだ」

福太郎「人間慣れした妖怪としてのアドバイス」

クロ「無理」

福太郎「即答って」

クロ「私は妖怪じゃなくて神だ。人間に崇められて恐れられてナンボだ」

福太郎「人間との壁とかは感じんの?」

クロ「別に」

福太郎「即答……ほんなら、すっきー?」

すっきー『えっ、いやいや無理っす、無理っす。私には分からないっすよ!』

福太郎「んー……キミら妖怪やのに」

クロ「だから私は神だっての」

すっきー『私は壁って言うか驚かすのが本職ですし』

福太郎「……確かに」

クロ「納得したか」

コンコン!
福太郎「ん?はい?」

りんね「こんにちはー。いいお肉もらっからおすそ分けよ。血の滴るいいお肉」

福太郎「……センセが血の滴る肉とかいうたらもの凄いゾッとするんやけど」

りんね「えっ、どうして?」

福太郎「いや……あっ、そうや。りんねさん、ちょっとご相談が」

りんね「相談?あっ……駄目よ。福太郎君、私は教師で……だけどひとりの女でもある。いいわ、なんでも相談して!」

福太郎「なんか盛りあがっておられるようやけど……」

~青年説明中~

りんね「なるほど……。そういう相談だったの」

福太郎「えぇ、そういう相談やったんです。知恵を下さいますか?」

りんね「馬鹿ねぇ。」

福太郎「はい?」

りんね「妖怪相手だと思わないで女の子として相手しないと。何もかも上手く言ってたときにポッと出のなにかにつまづくと怖いくらい自信をなくす事なんてよくあることよ。」

福太郎「んー……」

りんね「女の子には女の子の元気になるタイミングがあるの」

福太郎「……といいますと?」

りんね「女の子はパワフルで不思議な生き物なの。だから黙って生活のサポートだけしていたら大丈夫」

福太郎「んー……まぁ、センセがそういうんでしたら」

りんね「ふふっ、という事で夕ご飯にしない?」

福太郎「んっ、ほな準備しますわ」

りんね「はーい、待ってます」

クロ「っていうか、食っていく気。全開だな」

りんね「だってー疲れててご飯作る元気ないんだもん」

クロ「「もん」っていうなよ、「もん」って」

福太郎「しかし、ほんまにええ肉やな。これ、ステーキソースあったかな」
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