第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

コンコン!

福太郎「はい?」

小鞠「あ、福太郎!福太郎!ばいと受かったわ。5件採用!」

努力の甲斐あってかスムーズにバイトも見つかったようで。

福太郎「へぇー凄いなぁ!5件……5件?!」

小鞠「うん」

クロ「おいおいきっぱり言い切ったな」

福太郎「まさか全部働くつもり!?無理無理。体力がもたへんて…」

小鞠「妖怪の体力なめないですけじゅーるさえ重ならなければ平気だもん」

福太郎「そうはいうても……」

クロ「やらせといてやれよ。本人が平気ってんだから」

福太郎「んー……ほんなら無理せず頑張ってな?」

小鞠「うん!」

それからの小鞠さんは毎日めまぐるしく働き、空いた時間をお洒落の勉強や由乃さんと当ててるらしい。

クロ「アレ、小鞠はどした?」

福太郎「今日は由乃ちゃんと遊びに行くって」

クロ「はーん」

福太郎「しかし、ほとんど手かからんなぁ…。」

クロ「ていうか、お前より大車が世話役やってるよな今回」

福太郎「確かに」

小鞠「ねぇねぇ見て見て!はじめてのお給料で洋服買ったの!」

福太郎「へぇ、今日は楽しかった?」

小鞠「うん!買い物楽しかった!明日もまた頑張れる!あと今度角煮食べたい!」

福太郎「角煮か……。ん、分かった」

クロ「渋いな…。」


現代での生活にも慣れて充実した毎日を送って小鞠は満足していた。そして今日もバイトに出る。

小鞠「いってきまーす」

福太郎「んっ、いってらっしゃい」

小鞠は当たり前に働いて働いた分お金がもらえて頑張った分だけ好きなことができる。現代って素敵。今日も一日がんばろうと気合を入れるのだった……。

福太郎「しかし、元気いっぱいの青春全開やな」

クロ「お前もしたかったら青春したらいいじゃん。よくよく考えてみたら寿命的にはともかく年代的にはお前と同じくらいだろ小鞠のヤツと」

福太郎「んー……小鞠ちゃんは由乃ちゃんと同じくらいやろ。俺はほら、なんやかんやでおっさんやし」

クロ「いや、それいったら一応お前より若いはずの悠のがおっさんだろ」

福太郎「悠君は若いで」

クロ「おっさんだろ」

福太郎「いやいや、ホンマのおっさんは無茶でけんねん。悠君は平気で無茶できる。それが若さの証や」

クロ「あー……いや、でもなぁ。アレはアホだから無茶できるんじゃね?」

福太郎「アホが出来るって若いってことやろ」

クロ「ふむ……。」

メリー「じゃあ、ご主人様も十八ぐらいなら無茶してるの?」

福太郎「しとるやろな。朝まで飲んだくれたり夜通し遊んだり、絵描きに行く山とかも手近な場所やなーてちょっと遠くで中腹まで登ったり」

クロ「そうやってきくと……おっさんだな」

福太郎「せやろ?けど、お兄さん言われた方が内心ほっとするし、まだまだ「おっさん」やなくて「お兄さん」って呼ばれたい」

クロ「知らんよ。」
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