第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー百鬼襖の部屋ー

福太郎「んー、そんなに掃除するところも無いな」

由乃「福太郎さんが小まめ掃除しているからですね。」

福太郎「んー、せやね。」

クロ「風呂、トイレ、洗面所。水まわりは問題なし。」

メリー「電気も通ってる」

福太郎「んっ、ほんなら換気のため窓あけといて……。どーしょうか」

由乃「どうしましょうか。資料は見ましたか?」

福太郎「えぇ、ひと通り目は通しておきました」

由乃「そうですか。じゃあ、急ぎでやることは全部終わりましたね。」

福太郎「さて、どないしようか……?」

クロ「飯でも食いに行けばいいんじゃね?」

福太郎「ああ、なるほど」

メリー「由乃ちゃんがいると、よくご飯食べるね」

由乃「え……あ、私かえ……」

福太郎「帰えららんでええよ。いっしょに食べに行こう」

由乃「すいません。自分の分は自分で……」

福太郎「出さんでええよ。一尾数万円する魚とか頼まんかったら」

由乃「そんな高級店行くんですか?!」

福太郎「冗談や」

由乃「ほっ…」

クロ「魚が美味いのは確かだけどあそこは高いもんなんて基本ねーよな」

福太郎「女将さんが良心的やからね」

由乃「いきつけのお店ですか?」

福太郎「まぁ、そんなところです……ん?」

メフィスト「……」

福太郎「ん、こんちわ」

メフィスト「オッ、これはどうもデース。突然すみマせんが……黒いのと白いチビっこいのを見ませんデしたか?」

福太郎「クロ……?」

クロ「こっち見んな」

メフィスト「黒いのと白いちびデース」

福太郎「猫かなんかですか?」

メフィスト「いえ……見ていないようなのデいいデス。アッ、それともうひとつ」

福太郎「はい?」

メフィスト「お部屋が何かうるさかったりとかしまスか?」

福太郎「ん?んー……」

クロ「下の部屋からドタドタって足音が響いてきてる。普通上の部屋から聞こえてくるって言うのはあるけど下から聞こえてくるってどれだけドタドタしてるって話しだよな」

メフィスト「なるほど……よーく分かりました。ありがとうございマす」

福太郎「あ、ちょ……いってもうた」

クロ「なんだったんだ」

由乃「最後すごい怖い笑みを浮かべていましたね……」

福太郎「んー……あん人も色々と一方的言うかバーっと自分の用件言うて行ってしまうひとやな」

クロ「ああいうやつが些細なことで大問題起こすんだぜ」

福太郎「それ体験談?」

クロ「私とあんな胡散臭いのを一緒にすんな」

福太郎「それはそれで失礼やで」

クロ「だって、りんねや悠の知り合いだぞ」

福太郎「……」

クロ「……」

福太郎「ご飯いこか」

クロ「……だな」

由乃「えぇ…」
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