第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「たーだいま」

由乃「あ、お帰りなさい」

福太郎「ん?大車さん。いらっしゃい」

由乃「すいません、勝手にお邪魔してしまって」

福太郎「ええですよ。クロもすっきーもメリーちゃんもおるんやし。ん?」

ドタタッ……ドタタッ……

クロ「なんか下が騒がしいよな」

福太郎「ホンマやな。新しい人でもはいったん?」

すっきー『ここは福太郎さんが入って全室いっぱいになったから元から居る人のはずっスよ』

福太郎「んっ……なるほど」

クロ「怒鳴ってくるか?」

福太郎「んー……まーええやろ。今は」

由乃「怒鳴ることを止めはしないんですね……。」

福太郎「それも選択肢のひとつやから。せやけど、いきなりそんな真似はせーへんけどね。まずは話しあい」

由乃「大事な考えだと思います」

すっきー『クロさんは一触即発で向かっていくタイプっすね。』

クロ「あぁん?」

すっきー『いぇ、なんでもないっす……』

福太郎「んっ、けど一番ええんはトラブルに関わらんことやけどね。見ざる聞かざる言わざる」

由乃「急に無関心な感じになりましたね……」

福太郎「俺はあんまり表だって自ら困難に立ち向かっていくタイプちゃうんでね。」

メリー「それ……自信満々にいうことじゃないわ。ご主人様」

福太郎「んっ、それより由乃さん。小腹すいてたりせん?」

由乃「はい?」

福太郎「んっ、ちょっと今日山に写生しにいっとったんやけど。そのお土産にな、コレ」

ドササッ

由乃「これは……お弁当?」

福太郎「んっ、駅弁買ってきた」

クロ「なんで駅弁……」

福太郎「こう目立ったいうかええ感じのお土産が思いつかんかってな。んで、悠君のアドバイスで駅弁にしたんよ」

クロ「どういうアドバイスだよ」

福太郎「車内だけでなくお家で食べてもワクワクして楽しいっていうアドバイス」

由乃「なるほど」

すっきー『確かにそうっすね。』

福太郎「ということで色んな種類かって来たんよ。由乃さんもどうぞ」

由乃「いいんですか?」

福太郎「ええんですよ」

由乃「それじゃあお言葉に甘えて」

福太郎「クロ、お茶淹れて」

クロ「冷たいのでいいよな」

福太郎「んっ、そういや由乃さん。もしかしてなんか用事あって来たん?」

由乃「あっ、そうそう。急ぎではないんですけど……歪業の受け入れの件で」

福太郎「ええですよ」

由乃「……まだ書類も出してないんですけど」

福太郎「それもちゃんと見ますけどええですよ。リフレッシュもしたしお仕事せんとね。」

由乃「福太郎さんは真面目な人ですね。妖怪さんを受け入れ終えてから数カ月くらい休暇を取る人もいるのに」

福太郎「うちに来る妖怪(ひと)は無茶苦茶手にのかかるひと居らんからね。たまにはハプニングもあるけど」

由乃「そうですね。それじゃあええと……」

クロ「仕事の話しなら飯食ってからしたらどうだ」

福太郎「せやね。」

由乃「ですね。それじゃあ、いただきます」
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