第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「ん?今日帰るんですか?」

幽香「えぇ。さすがに三日も四日もこっちに居るわけにはいけないからね。」

メリー「えー……」

幽香「私が帰っているあいだに……」

クロ「花の世話だろ分かってるよ」

幽香「ちゃんと調教の成果が出てきたわね。」

福太郎「あぁ、やっぱり調教しとったんや」

クロ「されてねーよ!」

すっきー『でも、しっかりいうこと聞いてるっすよね。』

クロ「あん?」

すっきー『めっちゃ睨まれたっす……。』

福太郎「まぁ、それもそのうち丸うなっていくんやろね」

クロ「性格まで調教されてたまるか!」

幽香「荷馬車のように働いてくれたらそれ以上のことはしないわよ」

クロ「奴隷か私は!」

幽香「ふふっ」

福太郎「笑って居られるよ?」

クロ「……」

幽香「だってどうせアナタ暇なんでしょ?」

クロ「暇ではねーよ」

幽香「そうなの?」

福太郎「んー……自由度は高いと思う」

幽香「ほら」

クロ「適当言うなよ」

福太郎「んー……布団は干してくれる」

クロ「もっと別に褒める部分はあるだろ!」

福太郎「アニマルセラピー」

クロ「喧嘩売ってるんだな?そうなんだな?」

福太郎「んっ、イヤ全然」

すっきー『クロさんのいいところって言ったらアレですよね。無くした物を探してくれる』

クロ「そんなことした覚えがねぇよ」

幽香「犬らしい能力ではあるわね。」

クロ「犬じゃねーよ」

福太郎「せやけど犬もなめたらアカンで?世界には麻薬探知犬ていうて、それは立派な犬が……」

クロ「知ってるけど私は「犬」じゃねーんだよ!」

福太郎「ガルム?」

クロ「北欧神話に登場する番犬じゃねーよ。西洋のバケモンを引っ張り出すな」

すっきー『ナルガクルガっすか?』

クロ「モンスターハンターに登場する大型ボスモンスターじゃねーよ。毛色しかあってねーしアレは猫系だろ」

メリー「毛羽毛現(けうけげん)?」

クロ「鳥山石燕の画集『今昔百鬼拾遺』にある毛むくじゃら姿の日本の妖怪じゃねーよ!ってか、もう毛しかのこってねーな!」

幽香「天狗?」

クロ「はぁはぁ……」

幽香「……天狗?」

クロ「ち、近いけど白狼じゃなくて黒狼だ……」

福太郎「息切れしとるね」

すっきー『ツッコミのスキルはめちゃくゃ成長してるっすね。』

幽香「漫才師にでもなるの?」

クロ「はぁはぁ……ちょっとまて、色々と待て」

福太郎「……あんまりクロで遊ばんといてあげてくださいね?」

クロ「おせーよ……」

幽香「っていうか、アナタも遊んでたじゃない。」

福太郎「ペットとのコミュニケーションです」

クロ「ぺ、ペットじゃねぇよ……」
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