第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

メリー「……」

福太郎「なんでそんな悪いことするん?」

悠「水銀燈だって人間にそんな危害を加えなかったというのに。」

すっきー『比較対象がよくわかりませんけど』

メリー「人間嫌いなんだもの、さんざん人をおもちゃにしてあきたらぽいだもの、呪われて当然なんだから!」

福太郎「……捨てられたん?」

メリー「……そうよ」

福太郎「……ポイされた?」

メリー「…………そうよ」

悠「ジャンクゥ?」

メリー「あなた、私からどんな反応を引き出したいわけ?」

悠「水銀燈にはやっぱ似てないな」

福太郎「装備はハサミやし蒼星石ちゃう?」

メリー「からかってるならっ……」

ひょい
福太郎「じゃあ、俺がもらう」

Chu…
メリー「な?な、なな、ななっ///」

悠「当て身」

ビシッ!
メリー「うっ!」

すっきー『な、なにしてるんすかっー!!色々と!二人とも!!』

福太郎「悠、あんま無茶したらあかんて」

悠「だいぶ手加減して当てたって。おれがその気になればデコピンで割りばしくらいは折れるかも知れないんだぞ」

ようよう「何する気だ?兄さんたち」

福太郎「人形工房でバイトした経験が役立つ時が来るとはなぁ…」

すっきー『いろいろやってんなぁ~この人…』

悠「今晩はオールかな」




~~

気がつくと誰もいなかった。私は……探しまわった。いない……どこにもいない……それでも待っていれば帰ってくる……きっと…………きっと…そうでしょ……ご主人

~~


メリー「……様っ……?」

すっきー『あ、おきましたよー』

ようよう「鏡、鏡」

福太郎「はいはい。どうぞ」

メリーの前に置かれた鏡にうつる自分の姿は……髪はサラサラ、失った目は元に戻り、ひび割れた身体は元にもどっている。

福太郎「ふぁあ……。」
ぽてん…

すっきー『あ、倒れた寝た』

ようよう「不眠不休だったからな」

すっきー『でも、凄いですよね福さん。新品みたい』

ようよう「たかく売れそうだな」

メリー「か、勝手よくもこんな……ハッ!私のハサミは!まさか捨てたの!!」

ようよう「あー……あれな」

すっきー『こんなんなっちゃいました』

台座に突き立ったそれはハサミではなく西洋の両刃剣に代わりきってしまっていた。しかも、抜けたら勇者と台座に書いてある。

メリー「きゃあぁぁあぁ?!?!?」

ようよう「悠の兄さんが汚いからって、溶かして打ち直してたな」

メリー「勝手によくもこんなことおぉ!!」

すっきー『まぁまぁ別に無くなった訳じゃないんだし』

ようよう「まぁ勝手にゃ違いねぇから別段感謝する必要もないわな」

すっきー『むしろショッカーに掴まって改造されたライダーの気分?野良イヌに噛まれたと思って諦めるしか』

メリー「勝手に拾って…勝手に壊して…勝手に捨てて…勝手に直して……人間って」




~数時間後~

福太郎「んっ…」

すっきー『あ、福さん』

福太郎「……いない?」

すっきー『そりゃそうでしょ、許可もなくやっちゃって逃げられても当然すっよホント』

福太郎「そか、ほな明日探す。寝たりんし寝るわ」

すっきー『……探す?見つからないかも?』

福太郎「見つかるまで探す」

すっきー『それでも見つからなかったら?』

福太郎「探すよ……ずっとな」

すっきー『どうしても見…』

ベチン!

福太郎「どこにいても見つけ出す。アレはもう俺のもんなんや。俺はものもちはええんや。側に置いて捨てるだの捨てないだの忘れるくらいずっとな……。」

ベッドの下では……

メリー「……」

ようよう「……だそうだ、もう一度追われてみるか?」

メリー「あのとき……ずっと探し続けていればあの人に会えたのかしら……」






~翌朝~

福太郎「んんっ……ん?」

メリー「……だっ、大事に可愛がって……くれるなら、ちょっとだけあなたのものになってあげる。ちょっとだけだからね!」
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