第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近くー

幽香「労働のあとの風が気持ちいいわね。」

クロ「おまえ種撒いただけじゃん」

悠「水もやってたじゃん」

クロ「汗臭いから近づくな」

悠「ほとばしる汗っ!!」

クロ「キモイ……」

福太郎「こんな夏日やのに黒の長袖きとるんは何かに対する挑戦何?」

悠「まだちゃんと衣替えしきってなくてな半そでとか出し切れてなくって薄手のこれを着てきたんだが……絞れるほど汗かいた」

福太郎「ダラッダラなんやな」

悠「汗もしたたるいい男だ」

クロ「うぜぇ」

悠「一泊二日かけて追いかけ回してやろうか」

クロ「どんな執念だよ!」

幽香「あら、見て鯉のぼりよ」

メリー「わぁー、ホント!」

福太郎「鯉のぼりかぁ。」

幽香「なにか想い出が?」

福太郎「いや、ないけど」

悠「鯉のぼりだったらウチも建てたよ」

福太郎「悠んところも?あれ男の子おったっけ?」

クロ「もしかして……自分のためか?」

悠「いや、ゆうながやたらせがむもんだから」

福太郎「小さいん?」

悠「そこそこでかいの」

福太郎「よう建てれたね」

悠「穴掘るのと鯉を吊るす大木さえ用意できたらあとは気合で何とかなる」

クロ「ならねーよ」

悠「鯉つながりで恋を吊るそうとしたら蹴られたけど」

福太郎「そら怒るやろ。恋(こい)やなくて恋(れん)やし」

クロ「起こる部分はそこじゃねーよ」

悠「ノーパンって部分か?」

クロ「吊るそうとしてる事だよ変態野郎!」

悠「二泊三日で追いかけ回すぞ」

クロ「一泊増やしてるんじゃねーよ」

福太郎「リアル鬼ごっこやな」

幽香「捕まったらなにをされるのかしらね」

悠「おでこを舐め倒します」

クロ「何か分からねぇけどとてつもない変態なのはよーーく分かった。」

悠「この汗だくの身体で抱きついてやろうか?」

クロ「近づくなバタリアン」

悠「脳みそ喰いたい衝動はないのに」

福太郎「懐かしいなバタリアン。タールマンとかオバンバおったよな」

幽香「おばんば?」

悠「上半身がオバハンのゾンビ」

福太郎「当時のラジオCMで「あたしオバンバ、あなたの脳味噌食べさせて~」っていうがあったわ。」

クロ「メリーと同類か」

メリー「一緒にしないで!」

悠「私メリーちゃん、いま谷間の中に住んでるの~」

メリー「うっさい!」

福太郎「最高やんね」

幽香「そんなに谷間に挟まりたいのならホルスタインの下に寝てればいいんじゃない?」

福太郎「それはデッドエンドやなぁ」
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